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企業監視20年②

 告げられた異動先は栄転とは言いがたいポストだった。佐々木清隆は1997年7月、4年間のOECD勤務を終え、大蔵省金融検査部の総括課長補佐に着任した。銀行の融資状況を見て経営の健全度を検査する業務は、キャリア官僚が「ベテランさん」と呼ぶノンキャリの職場だった。「キャリアが行くというのは……まぁ、終わりなんです」

 だが腐る余裕はなかった。このころ東京地検特捜部の進める総会屋利益供与事件の捜査によって四大証券や旧第一勧銀の幹部が相次いで逮捕され、世間は底なしの腐敗に慄然(りつぜん)とした。経営が傾いていた三洋証券が11月3日に倒産すると、17日には北海道拓殖銀行が破綻(はたん)し、24日には山一証券が自主廃業を決め、26日には徳陽シティ銀行も破綻した。「金融連鎖破綻」が来襲した。「次はどの銀行か」。危うい銀行は続々、株式市場で売り込まれた。

 特捜部の捜査は次第に大蔵省も追い詰めていく。銀行から過剰な接待を受け、検査を担当する官僚が手心を加えていた。銀行のおごりで「ノーパンしゃぶしゃぶ」で遊んでいたことが明るみに出ると、大蔵省の権威は地に落ちた。金融を自由化したはずなのに、護送船団時代の官民癒着はむしろひどくなっていた。

 その年の大みそか、大蔵省への…

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