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 「私たちは第2波でウイルスとの戦いに勝ち抜かなければならない」。新型コロナウイルス感染が再び広がっている北九州市の北橋健治市長は、29日開いた緊急対策会議後の記者会見でそう呼びかけた。市内で新たに確認された感染者は29日までの7日連続で計69人。クラスター(感染者集団)が発生したとみられる市内の病院は救急外来などを停止し、市立学校は当面午前中のみの登校が続く。

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 北橋市長は29日、緊急の新型コロナ対策会議の後に開いた会見で、市内の感染状況について「第2波のまっただ中」と踏み込んだ。前日の定例会見では「第2波の入り口」としていた。

 「社会・経済活動を考えた場合の重要な基盤」として、6月1日から全面再開する予定だった市立学校について午前中のみの登校とした。給食の際にマスクを外すことで感染リスクが高まると考えたためという。

 対策会議では、再開していた美術館、博物館などを含むすべての屋内公共施設を31日から6月18日まで臨時休館し、市主催のイベントは延期、中止する方針を続けることも決めた。

 一方で、民間主催のイベント自粛を求める意向の有無を問われると「国、県全体でどこも再開に向けて動き出している」として、感染症対策が十分に講じられていることを前提に「主催者の意向は尊重せざるを得ない」と述べた。県に商業施設などへの休業要請の発出を求めることについても否定的な考えを示した。

 会見中、北橋市長は何度も「社会経済活動の再開」を口にした。緊急事態宣言の期間中、営業を自粛した飲食やレジャー、観光業者などを中心に市民経済は大きな打撃を受けた。早く活動を再開したい一方、ここで感染の勢いを止めなければ感染者数が爆発的に増えてしまう。ジレンマをうかがわせた。

 「短期間もう一度、辛抱、我慢していただき、できるだけ早く、これまでの社会経済活動ができる態勢にしていきたい」。危機感の共有と自制を市民に求めた。(吉田啓)

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 入院患者を含む計5人の感染者が確認された北九州総合病院(北九州市小倉北区)では29日、フェースシールドやマスクを着用した職員が正面玄関で来院者の検温をしたり、手指の消毒を求めたりした。

 こうした対策は4月初めに始め、5月14日の緊急事態宣言解除を受けて中断していた。市内の感染者が再び出始めた23日以降に再開したという。

 病院事務長は取材に「スタッフは医療用マスクや手袋などの装備をしていたと聞いているが、対策が万全ではなかったと言わざるをえない」と答えた。救急外来の受け入れを当面中止するが、通常の外来や予約済みの入院などは受け入れている。

 小倉南区から受診のため訪れた女性(75)は「病院の人はしっかり(感染防止の)対策をしていた。それでも感染するなんて怖い。自分で気を付けるしかない」。マスク着用はもちろん、帰宅後は手指の消毒も欠かさない。

 門司メディカルセンター(北九州市門司区)では職員ら10人の感染が確認された。採血検査で訪れた近所の男性(70)は同日朝、職員の感染を知った。「驚いたが持病の薬ももらわないと。行かないわけにはいかない」。医師からは、検査結果が出るまでは病院の外で待つよう指示されたという。

 近くにある飲食店の客は、この病院の関係者が多いという。店を営む女性(55)によると18日に通常営業を再開したばかりだ。「今後のお客さんの入り具合を見て再度閉めるかどうか考えたい」と話した。(加治隼人、板倉大地)

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 生徒、児童の感染が判明した北九州市小倉南区の企救中学校と守恒小学校は29日、臨時休校となった。市教委に委託された業者が防護服とゴーグル姿で両校に入り、エタノールや次亜塩素酸水を使って教室や廊下、窓などを消毒した。

 両校は25日に再開したばかりだったが、当面の間、再び休校にする。児童、生徒には自宅学習のための課題を市教委から郵送する。

 ほかの市立学校については休校にしないが、午前中だけの授業にする。給食はない。市教委は、6月1日から市立小中学校で給食を始め、本格的に学校を再開させる予定だったが変更を余儀なくされた。部活動も当面禁じるという。

 小学生の子2人を持つ同市小倉北区の女性は「やっと学校が始まったと思ったのに。子どもたちも給食を楽しみに待っていたので残念。コロナ感染への不安より昼食をつくる自分の負担が一番の悩み」と話した。(城真弓)