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 テレビ会議システムを使い、家にいながら旅に参加した気分になれる「オンラインバスツアー」を、琴平バス(香川県琴平町)が始めた。新型コロナウイルスがきっかけだが、旅行が難しいお年寄りの需要も見込み、続けていきたいという。

 参加者は、パソコンやスマートフォンでテレビ会議システム「Zoom(ズーム)」に接続する。画面には、車窓からの風景や観光地の映像が流れ、案内役のプランナー(添乗員)や他の参加者と話せる。観光先の特産品も事前に宅配便で届く。

 新型コロナの影響で、旅行業界はツアーのキャンセルが相次ぐ。同社は、オンラインバスツアーを新たな収益源にしたい考えだ。楠木泰二朗社長(42)は「現地のガイドや土産店の収入も確保したい」。長距離の旅が難しい高齢者にも需要があるとみる。

 5月に始めた第1弾は、島根県の伝統芸能「石見(いわみ)神楽(かぐら)」を楽しむツアー(3980円)。6月前半の4回は完売し、同30日以降を募集している。第2弾は、徳島県のかずら橋などを巡るツアー(4980円)で、予約を受け付け中。問い合わせは琴平バス(087・823・5678)へ。

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 初回の15日、島根へのツアーに記者も参加した。

 午前10時。自宅のパソコンに映し出されたのは、バスの車内だ。プランナーの山本紗希さん(30)が現れ、参加した県内外の21人に自己紹介を促す。「楽しみですね」「子どもが(画面に)乱入するかもしれませんが、よろしく」。それぞれの顔も映る。

 映像が切り替わった。車内から見た瀬戸大橋で、実際に走っているような感覚だ。サービスエリアに停車したとして、3分間のトイレ休憩もあった。

 山本さんの歌やクイズを楽しみつつ、30分余りでJR浜田駅(島根県浜田市)に着いた。「ようこそ浜田へ」の横断幕で迎える現地のスタッフたち。実際のライブ映像で、市内の神社などを案内してもらった。

 自宅のインターホンが鳴った。クール便を開くと、浜田特産の練り物「赤てん」に、ふりかけや地酒。本来は前日までに届くが、仕事で留守だった。

 メインイベントの「石見神楽」が始まった。笛と太鼓に合わせ、何匹もの大蛇が舞台上で動き回る。新型コロナで休演中のため録画だが、迫力は伝わった。

 帰途についたのは午前11時半。丸1日かかる行程が、約1時間半で終わった。参加者たちは「現地に行ってみたい」「物が届き、みんなで話せる。いいツアーだなと思った」と語っていた。

 1時間ちょっとの小旅行。特産品もついて4千円弱は、お得かもしれない。ただ、接続の問題で音声が途切れ、そのたびに現実に引き戻されたけれど。(江湖良二)