30日、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が47都道府県すべてで解除されてから、初の週末を迎えた。各地の繁華街や観光地ではにぎわいの兆しがみえる一方、第2波への不安の声も聞かれた。
緊急事態宣言が25日に解除された東京。銀座の街には多くの人が訪れた。
緊急事態宣言を受けた臨時休業で、約2カ月ぶりの営業再開となった銀座三越。正面玄関では、特注マスクを着けたライオン像が人々を迎えた。
「おはようございます」「ゆっくりとお進みくださいませ」。午前11時、フェースシールドに手袋をつけたスタッフが声をかける中、設置された消毒液を手にとりながら、次々と客が入店した。店舗入り口を4カ所に制限し、サーモグラフィーなどで検温を実施。37・5度以上の場合は入店を控えるよう呼びかける。従業員は全員マスクを着用し、客にも着用を呼びかける。マスクを持っていない場合は1枚50円で販売もするという。
レジなどで密集状態が生じないよう床にシールを貼ったり、陳列する商品の間隔をあけたりと工夫を重ねる。6月12日までは、通常より2時間短い午前11時~午後7時の営業を続ける。
山下卓也店長は「距離を保った上で、ニーズに合わせた接客を大切にしていきたい」。催事についても「時間や場所を分散し、ネット販売にも力を入れるなどして、『密』が生じないよう工夫する」という。
大田区から夫妻で訪れた西澤雪子さん(62)は「銀座は本当に久しぶり」。普段は月1、2回は来店していたと言い、「夫の服を見て、食事をして、久々の外出を楽しみたいです」と笑顔で話した。
人気の観光地・浅草。土産物店や和菓子店など88店が並ぶ仲見世商店街では、30店ほどが営業し、人力車夫の姿があった。仲見世商店街振興組合理事長で、菓子屋「評判堂」を営む冨士滋美さん(71)によると、5月中旬は5店舗ほどだけが営業し、多くの店はシャッターを下ろしていたが、人影は戻りつつある。
4月8日から休んでいた土産物店は30日、レジにビニールをつるすなどの感染対策をとり、営業を再開した。ただ、約2カ月ぶりに出勤した50代の女性店員は「思ったより人が少ない」。かつて休日の午前は、向かいの店がよく見えないほどに混み、開店を待つ観光客もいた。3月の売り上げはふだんの9割減。「外国人観光客が戻るまで、2年くらいは我慢かな」(荒ちひろ、川嶋かえ)
活気戻りつつある大阪
30日朝、JR大阪駅と阪急大阪梅田駅をつなぐ横断歩道。信号が青に変わると、カップルや登山服姿の女性ら約150人が一斉に渡り出す。「緊急事態宣言中の5倍くらいの人出。宣言解除後、外出を控えていた高齢の常連さんが買いに来てくれるようになった」。そばで見ていた、ホームレスの人たちの自立を支援する雑誌「ビッグイシュー」の販売員の男性(60)はこう語る。
大阪駅周辺で友人と待ち合わせていた京都市の会社員男性(28)は、これから「天空の城」として知られる竹田城跡(兵庫県朝来市)へ行くという。「宣言中は休日も家の片付け。解除後初めての遠出で楽しみです」。
百貨店の阪急うめだ本店など…
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