減産直撃のサプライチェーン、トヨタも混乱 震災教訓は

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石塚大樹 近藤郷平
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 自動車生産の部品供給網(サプライチェーン)を「有事」にどう維持していくか――。最大手のトヨタ自動車を筆頭に、自動車メーカーは東日本大震災後、部品メーカーの状況を把握できるシステムを導入するなど、自然災害を念頭に供給網に磨きをかけてきた。しかし、世界的な大減産や都市封鎖などで部品供給網が乱れ、生産に支障が出るケースがでた今回のコロナ・ショック。「想定外」への適応に向け、見直しを模索している。

 5月中旬、エンジン回りのプラスチック部品などを作る日多加産業(愛知県大府市)の工場では、完成部品の入ったかごが背丈より高く積み上がっていた。作った部品はすぐに出荷するのが普通だが、コロナの影響で取引先からの生産計画に「下方修正」が相次ぎ、出荷できない状態が続いている。

 トヨタの2次下請けのこの会社では、4月は8割、5月は6割も売り上げが減った。社長は「さらに厳しい状況がくることも想定している。新しい部品の受注を目指さないともっと苦しくなる」と漏らす。

 大減産が襲ったコロナ危機で、自動車各社はとりわけ、2次や3次といった中小の下請け部品メーカーの状況を素早く収集することに注力している。車は1台あたり約3万点の部品でできており、完成車メーカーを頂点に、1次、2次、3次などと連なる部品メーカーの支えによってできている。1点でも欠ければ車は生産できない。自動車メーカーにとって、部品供給網が寸断された2011年の東日本大震災が大きな教訓となった。

 「サプライチェーンのかなり…

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