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 東日本大震災から10年に向け、住宅再建やインフラ整備などの復興事業は「総仕上げ」の段階に入った。しかし、高台に住宅地が造成された三陸沿岸では、存亡の危機に陥る集落も出てきている。朝日新聞からKHB東日本放送に出向中の古城博隆記者が報告する。

一軒だけが高台に

 海に臨んで見晴らしが良く、サッカーコートより少し狭い。石巻市雄勝町分浜(わけはま)の木村勝雄さん(59)の一家は、そんな高台にポツンと一軒、暮らしている。

 2011年3月、43世帯が暮らしていた集落は、そのほぼすべてが津波に襲われた。奥まった一軒が残ったほか、高台に戻ったのは木村家だけ。別の場所へ移ろうとは思わなかったのだろうか?

 「思わねえな。やっぱ分(わけ)(浜)、いいもの」。ホタテやカキの養殖を手がけ、海の恵みをいただく浜の暮らしに愛着があるという。

 国の「防災集団移転促進事業」を活用し、造成費用約3億3千万円をかけて市が宅地を完成させたのは16年2月。用地取得が難航し、設計変更も相次いだ。

 今春、もう1軒が戻ってくるめどが立ったものの、妻の玲子さん(58)は「もう少し早く進めてくれれば、もっと帰りたい人が帰れたのではないか」と話す。

 この地域は、もともと過疎化が進んでいた。被災を機に買い物や病院通いに便利な市街地に移転した人、集落存続に期待を持てず離れた人……。雄勝町の人口は7割減り、約1200人にまで落ち込んだ。

 市によると、半島部で造成した612区画のうち、86区画は空き地のまま。被災者以外にも対象を広げて募集しているが、買い手は見つからない。市街地に造った852区画は人気が高く、空き区画がないのと対照的だ。

「限界集落を我々が作ったわけでは…」

 防災集団移転促進事業は東日本大震災で特例が設けられた。10戸以上としている「集団」の定義を5戸以上に緩和。事業費の4分の1ある市町村の負担をなくし、全額を国庫補助とした。いずれも被災地の要望を反映させたものだ。

 事業を担当する国土交通省の鈴木徹・都市安全課長は「被災者に寄り添って事業を進めた結果。限界集落を我々が作ったわけではない」と説明する。

 一方、こうした特例が「小規模…

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