新型コロナウイルスの影響を受けて、「9月入学」をめぐる議論が起こりました。拙速な導入への反対が多く、政府は来秋からの導入を見送る方向で調整していますが、世界の大半の国と学年の始まりがそろうことによる効果を期待する声もあります。「9月入学」は教育の国際化につながるのでしょうか。8月下旬を入学時期にしている、長野県軽井沢町の全寮制国際高校「ユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC)ISAKジャパン」の創設者、小林りんさん(45)に聞きました。
――UWC・ISAKは、なぜ8月下旬を入学時期にされているのですか。
「世界各国から教員を採用することを念頭に置いているからです。また、2014年の開校以前から国際教育機関のUWCに加盟することをめざしていました。UWCの場合、160の国々で留学生を選考して各国の認定校へ派遣する制度があり、9月入学が前提となっていました」
――海外から留学してくる生徒にとって、9月入学が合うのでしょうか。
「そうですね。オーストラリアやタイなどの例外はありますが、生徒の出身国約80カ国200人のうち9割くらいが9月入学が合うようです。海外から教員や生徒を募る場合、9月が一番やりやすいのは事実です」
――では、今回の「9月入学」の議論をどのように見ていますか。
「私たちの場合は、『9月入学』が適していましたが、すぐに全国一律で導入することには慎重であるべきだと思っています。休校中の学習の遅れを取り戻すためという意見もありますが、果たして新型コロナの感染はこれで終わるのでしょうか。『アフターコロナ』に移るのではなく、第2波、第3波が来て休校や学級閉鎖を繰り返す『ウィズコロナ』の時代に備えるならば、膨大なコストをかけて導入することにどのくらい意味があるのか疑問です」
――メリットとして、日本の教育の国際化が進む点も挙げられています。
「海外と人が行き来しやすく…

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