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 全国各地で学校が再開した1日、球音も少しずつ戻ってきた。3年連続の夏の甲子園出場を目指していた近江(滋賀)にとっても、再始動の日となった。

 「まず、体を慣らすこと。無理をして体調を崩すことだけは絶対に無いように」。午後2時。練習前のミーティングで、多賀章仁監督が強調した。部員たちはマスクを着用し、間隔を空けて座り、耳を傾けた。全体練習は4月上旬以来。学校は再開したものの、しばらくは2時間限定の活動が続く。

 当初はミーティング後にグラウンド整備とウォーミングアップ、キャッチボールをして終わる予定だった。しかし、グラウンドでボールに触ったのは1、2年生だけだった。

 多賀監督は全体ミーティング後、3年生だけを集めた。「最後の夏」となる第102回全国高校野球選手権大会が中止になってから、初めて全員が顔を合わせる場。言葉を選びながら、語りかけた。

 「俺も残念でならん。耐えられない思いもあるだろう。それでも、3年生として1、2年生に何か残してほしい。そのためにチームとして一つになってほしい」

 1人の部員が手を挙げて言った。「監督はどういう方針でやっていこうと考えていますか。一つになって、何を目指していくのですか」

 多賀監督の表情が曇る。「俺も分からない。それを考えてほしい」

 監督が去った後、3年生だけの話し合いは練習終了間際まで約1時間続いた。結論は出なかった。「簡単にまとまるものではない。でも、ここで努力をやめるのは違うと思う。何かをつかんでほしいんです」と監督。3年生も、指導者も、この夏のゴールを必死に探している。(小俣勇貴