[PR]

 新型コロナウイルスの影響で休校していた北海道内の小中高校が1日に再開し、学びやに明るい声が戻った。道による一部業種への休業要請も全面解除され、観光・レジャー施設や大型店は感染防止策を取りながら客を迎えた。多くの人がマスクをして、互いに距離を取る通勤風景も見られた。

 釧路市立共栄小学校では音楽の授業で使う机に、段ボールをコの字形に組み立てた感染防止シールド(囲い)を取り付けた。高さ約40センチで、机いっぱいに乗る大きさ。正面にはラミネートフィルムの窓。合唱やリコーダーの演奏で、つばが飛ばないようになっている。教員らが23人分をこしらえた。

 1日、2年1組の23人は「何これ」などと言い合いながら座ると、フィルム越しに互いに手を振るなどした。曲に合わせて手をたたく場面では、体を揺すりながらうっかりマスクをずらして口ずさむ子も。伊藤由紀子教頭は「子どもたちは生き生きとした表情で登校してくれました。安心して学校生活を送れるよう工夫をこらしたい」と話した。

 旭川市立朝日小学校では、机の間隔を1メートルに広げて授業を本格的に再開させた。音楽の授業は当面、曲を聴いたり、カスタネットなどの打楽器を使ったりする程度にし、体育は子ども同士が接触しないようにする。6年生の韓采岷(ハンチェミン)さん(11)は「家で一人で勉強するのと違い、学校はみんなの意見を聞くことができる」と喜んだ。

 ソーシャルディスタンスを体で覚えてもらおうと、トイレ前や廊下に、1・5~2メートルおきにテープを貼っている。橋本彰校長は「子ども同士が触れ合うことができないのは悲しいことだけど、安全のためしっかり取り組みたい」と話した。

 札幌市中央区の市立山鼻南小学校では、学年で三つのグループに分かれ、時間差で登校した。1、2年生は午前8時ごろから、次々に学校にやってきた。校舎前で出迎えた先生たちから「おはよう」「元気だったかい」と声をかけられると、笑顔で返事をした。

 1年生の辻ありささん(6)は「先生や友だちに会えてうれしかった。仲良く一緒に頑張っていきたい。鬼ごっこをして遊びたい。算数を頑張りたい」。東間義孝校長は「子どもたちは、友だちや先生の顔を見て表情がぱっと明るくなっていた」と目を細めた。

 七飯町にこの春開校した9年制義務教育学校の大沼岳陽学校。久しぶりに全校生が勢ぞろいし、にぎやかな声に包まれた。

 廊下には2メートル間隔で目印が並び、子どもらはこれに沿って距離を保ちながら歩いた。「岳陽ディスタンス」を合言葉に、校章の「岳陽」の文字を離したマークを作って校内に貼り出した。楢山聡校長は朝礼で、感染者への偏見や差別を抱かないように、「周りの人たちに、ぜひ優しくしてほしい」と諭した。

 休校で滞った授業について、新田英樹教頭は「遅れを取り戻すため、『7時間授業』や『土曜日授業』に取り組みたい」と話した。(高田誠、本田大次郎、磯部征紀、阿部浩明)

     ◇

 午前8時、札幌市中心部。「カツカツ」と急ぐ足音が、札幌駅前通地下歩行空間(チ・カ・ホ)に響いた。学校も再開され、セーラー服姿の高校生らも交じる。地下鉄さっぽろ駅では、電車が到着するたび、マスク姿の人たちが改札口を目指して階段を埋めた。

 駅前通りでは、赤信号を待つ間に周りの人から数メートル下がって待つ人も見られた。市内の金融機関に勤める男性(40)は、午前9時の出勤時間まで大通公園で時間をつぶしていた。先週まで出勤は1日おきだったが、この日から時差出勤に。「バスや電車内に制服姿が目立ちました」と変化を語った。

 芸能系の専門学校生の女性(18)は4月初旬以来となる通学の途中。「まだ同級生の名前も知らないんです。今日初めて話すので緊張しています」

 JR札幌駅のJRタワー(アピア、パセオ、エスタ、札幌ステラプレイス)とさっぽろ東急百貨店、札幌パルコは1日、時間を短くしての全館営業を再開した。これで道内の主な商業施設は全て営業再開したことになる。

 札幌ステラプレイス入り口の近くには、開店前から20人ほどが列を作った。普段より遅い午前11時に開店し、マスク姿のスタッフが約1カ月半ぶりとなる客に消毒を呼びかけながら、「いらっしゃいませ」と迎え入れた。30代の女性は「色んな場所がやっと再開してくれた。また楽しい札幌に戻ればいいなと思っています」と話した。JRタワーの担当者は「新しい生活様式に合わせて、緊張感を持ちながら営業を続けていく」と話した。(川村さくら、前田健汰)

     ◇

 函館市の函館山の山麓(さんろく)と頂上を結ぶ「函館山ロープウェイ」は、44日ぶりに運行を再開した。山頂の売店やレストランなど直営施設も営業を始めた。山頂への道路の通行禁止も解除された。

 再開にあたり、乗客にマスクの着用を求め、ゴンドラの乗車人数を定員の3分の1ほどの40~50人にした。乗客が降りるたびに車内を消毒するなど、「新北海道スタイル」に合わせた対策を取った。

 午前11時30分発の運行再開第1便には3人の乗客が乗り、新緑や街の眺望を楽しんだ。札幌市から訪れたカップルは「今日帰る予定でしたので、素晴らしい景色を見られてよかった」。

 運営会社によると、昨年度は延べ159万1千人が利用したが、今年4月の乗客は昨年同月の2・9%にとどまった。桜井健治専務は「当分は地元の人たちにぜひ、いい空気を思い切り吸いに来てもらいたい」と話した。

 同市内では五稜郭タワー、金森赤レンガ倉庫など代表的な観光施設が相次いで営業を再開した。

 旭川市の旭山動物園は、この日が夏期開園の初日となった。例年より1カ月遅い。園内各所に消毒用アルコールを置き、貸し出し用のベビーカーや車いすはこまめに消毒するなど、感染防止に努めながら待ちかねたファンを迎えた。

 市内から息子の颯亜(そあ)ちゃん(1)と一緒に来た母親の岡本亜里紗さん(24)は「動物が好きなのでオープンしてくれてよかった」。友人と2人で訪れた市内の主婦今野真由美さん(48)も「ホームページで営業再開をチェックしていた。展示が始まったアムールトラの赤ちゃんと会えるのが楽しみ」と喜んだ。

 小樽市のおたる水族館は約40日ぶりに営業を再開した。ただ当面の間、人気のイルカやトドなど屋内外のショーはすべて休止する。その代わりに、アザラシなどの写真入りポストカードをプレゼントする。(三木一哉、井上潜、佐久間泰雄)