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 新成人の個性豊かな和装が毎年注目を集める北九州市の成人式。その和装のレンタルや卸売りをしている小倉北区の「とみおかや」が、新型コロナウイルスの影響で大学や専門学校の卒業式が中止になるなどした県内外の若者に、和装の無料レンタルを始めた。門出の日をみんなで祝うことは出来なかったが、思い出を写真に収めてもらいたいと考えた。

 とみおかやは男性用で千着以上、女性用で500着以上の和装をそろえ、北九州市の若者から人気を集めている。売り上げの8割ほどを1月の成人式と3月の卒業式が占めているが、今年はコロナの影響で多くの卒業式が中止になった。「せめて晴れ姿にはさせたかった」。卒業生の親たちからこんな声が聞こえてきたという。

 代表取締役の冨岡可幸(よしゆき)さん(36)も「卒業を迎えた若者には一生に一度のこと」と胸を痛めた。貸し出しをする和装の中には1点しかなくレンタル料が高価なものもある。何年も前から予約して、アルバイトでお金をため、晴れの日に向けた準備を続ける人もいるという。

 「1番目立ったよ」。式が終わって報告に来る若者の笑顔は、冨岡さんの仕事のやりがいになっている。地元への愛着が強く、一生に一度の機会を友人たちと着飾って楽しむ。そんな若者たちのために、和装の店として何か出来ないかを考えた。

 同社も2、3月の売り上げが前年に比べて半分以下と苦しんでいるが、高いもので1回2万5千円ほどする和装を無償でレンタルすることにした。

 対象は、店を構える福岡、佐賀両県内の大学や専門学校を今年卒業した人。卒業式が中止になったり縮小されて和装を着れなかったりした若者を幅広く受け付ける。店のインスタグラムから申し込みが出来る。

 衣装を選び、来店すると店内で着付けやプロのカメラマンによる撮影までが無料で受けられる。いまは県外にいる人へも、送料無料で貸し出すという。

 冨岡さんは「親御さんやおじいちゃん、おばあちゃんにも喜んでもらいたい」と話した。今後、申込者を集めた撮影会も予定している。(板倉大地)

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