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 新型コロナウイルスの沈静化を願う花火が1日夜、全国一斉に打ち上げられた。大分県内でも大分市と玖珠町であり、大分市神崎の田ノ浦ビーチでは生島煙火(同県豊後大野市)が75発を上げ、数分間ながら別府湾の夜空に大輪の花を咲かせた。

 ビーチ脇のレストラン「エシェル ドゥ アンジェ」そばの防波堤では、数時間前から生島煙火の花火師6人が準備した。作業は内緒で進められ、直前まで付近を散策する人も。午後8時ちょうど、まず音だけの花火5発があがり、4号玉10種10発やカラフルなスターマインなどが次々と空を焦がした。費用約20万円は手弁当という。

 花火は全国の花火師有志が、新型コロナで沈む世の中に元気を届けたいと企画した「全国一斉悪疫退散祈願 Cheer up! 花火プロジェクト」。47都道府県の約200カ所で同時に打ち上げられた。

 人が集まるのを避けるため場所は事前の告知なし。田ノ浦でも打ち上げ地点そばに観客はなく、歓声も届かなかった。だが打ち上げを終えた花火師の瑞木睦生さん(51)は「みんなどこかで上を向いたでしょ。誰かが笑顔になったかもしれない。それが花火です」。

 本格的な花火大会は、江戸幕府の八代将軍徳川吉宗が1733年、疫病犠牲者の慰霊と悪病退散祈願で行った両国の水神祭が始まりとされる。瑞木さんは「こうした歴史があることも知ってほしかった」。ただ現実には感染拡大防止のため各地の花火大会が軒並み中止になり、業界は極めて大きな痛手を負っている。

 瑞木さんは、「花火は夏だけのものではないし、今回のような数や種類なら行政への手続きも少なく、比較的気軽に打ち上げられる。ぜひ活用してほしい」と話している。(寿柳聡)