[PR]

 今年で41回目を迎えるはずだった熱気球の祭典「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」。佐賀平野の秋空を彩る一大イベントにも新型コロナウイルスの影響が及び、1日に中止が発表された。選手や大会を支えてきた人々からは、悲しみの言葉が漏れた。

     ◇

 昨年、2年連続6度目の優勝を果たした藤田雄大選手(33)は「想像していたが、中止と聞いてだんだん実感が湧いてきた。悲しい」と残念がった。

 父は、同じく熱気球選手だった昌彦さんで、物心ついたときから大会に足を運んでいた。2007年から選手として、栃木県から参加。佐賀県出身の華菜子さん(30)と結婚し、現在は佐賀市に移って競技活動を続けている。

 これまで国内外の大会に出ていたが、今年に入って延期や中止が相次いだ。4月に新型コロナの緊急事態宣言が出されてからは、「不要不急の外出自粛を求められている皆さんの上を飛ぶのはいけない」と思い、筋力トレーニングを続けていた。

 「ここまでブランクが空いたのは初めて」といい、今は貯金を取り崩して生活している。「楽しみにしてくれているファンの方々がいる。国内選手だけでも飛べる機会があるなら参加して、空から皆さんを勇気づけたい」と話した。

     ◇

 大会には、個人・団体合わせて約450人のボランティアが参加。案内や通訳、熱気球の立ち上げ、浮上した後の車での追跡、着陸後の回収作業など、様々なことを手弁当で手伝う。

 県内の自営業者や教員らでつくる異業種交流会「我楽多(がらくた)会」は、20年以上にわたって大会をサポートしてきたという。副会長の田中聖一郎さん(55)は「毎年楽しみにしていた会員ばかり。非常に残念」と語る。

 大会中は午前2時ごろには会場入りし、熱気球チームの受け入れや気球の立ち上げなどを担ってきた。時には海外や遠方のチームの案内役として搭乗し、美しい光景に魅了されてきた。田中さんは「童心にかえり、日頃の忙しさを忘れられる幸せなイベント。人とのつながりも魅力。また来年、皆に会えることを楽しみに待ちたい」と話していた。(松岡大将、平塚学)