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 1日から始まった来春卒業予定の高校生向け求人受け付け。新型コロナウイルスの影響で、企業側は情勢を見極めながら採用計画を立てており、初日は前年より大幅に求人数が減った。新規採用を見送る企業もあり、学校側は危機感を強めている。

 岩手労働局によると、初日に受理した求人数(速報値)は716人で前年と比べ23・7%減った。

 県内10カ所の公共職業安定所のうち、6カ所で前年を割り込んだ。減少したのは盛岡が129人(前年比45・3%減)、花巻66人(14・3%減)、北上180人(14・3%減)、釜石65人(16・7%減)、大船渡48人(46・7%減)、久慈17人(78・2%減)。一関、水沢、二戸、宮古では増加した。内陸部全体では561人で17・4%減、沿岸部全体は155人で40・4%減った。

 新型コロナの影響で今春に内定取り消しや就業時期の繰り下げがあったことから、岩手労働局では来春採用に向けて綿密な計画を立てるよう企業側に促している。先行きが見通せない企業も多く、労働局の担当者は「企業も採用計画の見極めに時間をかけているのではないか」とみる。

 生徒への求人公開は7月1日で、選考は9月16日以降に始まる。求人受理は始まったばかりで、昨年は初日の約900人から月末には約5千人に膨らんだ。労働局の事前の調査に求人を出すと回答しながらまだ求人票を提出していない企業もあり「厳しくても今後を見通して採用する企業もあり期待感はある」としている。

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 「かもめの玉子」で知られる大船渡市の「さいとう製菓」は、毎年2~3人を採用してきたが、来春は高卒の新規採用を見送ることを決めた。コロナ禍で観光客が減少し、直売店の4月の売り上げは前年同期の4割まで落ち込んだ。5月はさらに厳しいとみている。

 金野崇総務部長は「この状況では来春までの業績回復は難しい。高卒者はいずれ製造部門の中核を担っていく。採用しないのは苦渋の判断だった」と話す。

 北上市に昨年秋、総事業費1兆円を投じて新工場を完成させた半導体大手のキオクシア(旧東芝メモリ)。本格操業が始まる予定の今年、現地子会社のキオクシア岩手は、高卒者の求人数を前年の約半分の75人とした。高橋洋文・人材採用センター長は「長期的な半導体の需要はあり事業計画に変更はない。高望みはせず、着実に人材確保を進めていく」と強調する。

 北上市は3日、地元経済界や西和賀町の高校長も集めて、採用に関する情報交換会を開く。昨年より1カ月前倒しの開催で、市の担当者は「地元の中小企業にも目を向けてもらうよう努力したい」と話す。

 生徒を送り出す学校側は、企業側の動きの鈍さを懸念する。高校3年生の半数以上の135人が就職を希望する盛岡商業高校。5月に独自で企業に採用動向を聞き取りしたところ、事務職を中心に反応は厳しく生徒からは不安の声が上がる。進路指導部長の高橋広幸教諭は「一度県外企業に目を向けた生徒を県内に戻すのは時間がかかる。できるだけ求人票を出してもらいたい」と訴えた。(大久保泰、溝口太郎、上地一姫)