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 新型コロナウイルスの影響で、就職活動が様変わりしている。感染リスクを避けようと採用面接などはオンライン化が進み、一度も会わずに内定という企業も。山口県内の大学に通う来春卒業予定の学生や、採用する側の会社も、手探りの状態が続いている。(寺島笑花)

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 山口大学国際総合科学部4年の貞宗幸樹さん(21)は2月中旬から本格的に就職活動を始めた。当初は大阪など県外の企業説明会に参加していたが、3月末から採用活動は次々とオンライン化。今ではほとんど、パソコンを通じて活動する。

 「ウェブ上のやり取りだけでは会社の雰囲気も分からない。正直、不安です」

 企業面接は、一人暮らしをする山口市内の自室からスーツ姿で臨む。貞宗さんが受験する中には、一度も会わずに内定を出す予定の会社もある。

 先輩からは、夏までには決まると言われていた。だが、新型コロナの影響で、企業の採用スケジュールは先送りに。広告業界を志望していたが、最近は公務員採用試験の受験も考え始めた。「今は卒業までに決まるかどうかも分からない」と貞宗さんは話す。

 「画面に映るのは顔だけ。全身を使って企業に自分の熱意を伝えるのがものすごく難しい」

 関東地方のIT企業を志望する同大人文学部4年の吉岡承太郎さん(21)は話す。

 これまで重視されると聞いていた入退室や着席する際の立ち振る舞いも、オンライン上では伝わらない。例年なら就活生同士、企業の合同説明会などで情報交換できるが、それもない。少しでも印象をよくしようと、パソコンの前に卓上ライトを置いて、顔の正面から光が当たるよう工夫している。

 一方で、説明会や面接で県外などに移動する必要がなくなり、時間の余裕ができた。選択肢になかった企業も受けやすくなった。趣味の読書も以前は週に1、2冊のペースだったが、いまは1日1冊だ。

 「後ろ向きに捉えて絶望している友達もいるけど、こういう時だからこそできることをポジティブに探したい」

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 県内に本社を置く総合化学メーカーは、今年の採用活動をオンラインに切り替えた。採用担当者は「オンラインでの採用は学生の人となりや雰囲気が分かりづらいが、学生側の条件は一緒。『今年はウェブ上での判断』と割り切るしかない」と話す。

 一方で利点も。例年なら会場の規模が限られることから、説明会に参加できる学生を絞る必要があった。オンラインならそれもない。事務職系のエントリー数が昨年の約1・3倍に増えたという。

 大手化学メーカー「宇部興産」(山口県宇部市)も採用活動をインターネットで実施。だが、工場見学会など、より会社を知ってもらうイベントは中止せざるを得なかったという。

 ネット上で企業の合同説明会を運営する「ガイアックス」(東京)によると、これまで約50社が、同社のオンライン上の合同説明会に参加した。登録学生数は2千人を超える。

 ガイアックスが運営する合同説明会では、1回につき企業3社と、大学生15人が参加。会社からの企業説明のほか、グループごとに座談会を実施している。

 サービスを担当する中津花音さん(23)は、これまでの就職活動は移動を伴うため活動の選択肢が狭められていた、と指摘する。「入社したい企業の選択肢を広げるという意味で、新型コロナの収束後も就職活動のオンライン化は広がっていくのではないでしょうか」