[PR]

 新型コロナウイルスの緊急事態宣言や県をまたぐ移動自粛要請の解除を受け、県内の観光施設が相次いで営業を再開している。利用客にマスクの着用や検温、消毒を求めるなどの対策を取っている。ただ、コロナ禍の先行きは見通せず、不安交じりの船出となった。

     ◇

 鳴門海峡の観潮船「うずしお」を運航する「うずしお汽船」(徳島県鳴門市)は1日午前8時に運航を再開。乗船券売り場や桟橋にはマスク着用を求める注意書きや、手指用の消毒液が置かれた。通常86人の定員を40人に減らし、乗客同士が間隔を空けて座るよう、使える席にはテープで目印を付けた。訪れた人たちは、非接触型の体温計で体温をチェックした後、船に乗り込んだ。

 関東から訪れたという60代の夫婦は「前から渦潮を一目見たいと思っていた。貸し切り状態で、自然の醍醐(だいご)味を楽しめた」と満足そう。同社によると、初日の乗客数は7人。目標の20人には届かなかった。

 同社取締役の吉田元保(もとやす)さん(69)は「お客さんが来てくれて、うれしかった。32年前の開業時の喜びを思い出した」。ただ、見通しは厳しい。例年なら大勢の観光客が訪れる大型連休は運休、夏休みも阿波踊りの中止や学校の休みの短縮などの影響が出そうだ。吉田さんは「緊急事態宣言が解除されても先が見えず、不安は大きい。感染予防策を徹底し、いつでも渦潮を見に来てもらえるように態勢を整えたい」と話した。

 大小2隻の観潮船を持つ「鳴門観光汽船」(鳴門市)も1日に運航を再開。感染予防のため小型船は当面運休し、大型船のみの運航とする。「ジョイポート南淡路」(兵庫県南あわじ市)も同日、運航を再開。旅客定員が500人と700人の観潮船2隻を持つが、1便の定員を100人に制限する。(吉田博行)

     ◇

 徳島県三好市内では1日、新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言に伴い、臨時休業していた祖谷のかずら橋(西祖谷山村)など多くの市管理の観光施設の営業が再開された。ただ、市管理施設の一部や民間施設の中には再開が遅れる所もある。

 1日に再開したのは、かずら橋と奥祖谷二重かずら橋、市内3カ所の道の駅(大歩危、三野、にしいや)、塩塚高原キャンプ場、かずら橋キャンプ場、祖谷渓キャンプ村、松尾川温泉など。大歩危峡の遊覧船もこの日再開した。

 ホテル・旅館は再開時期の判断が分かれた。1日に再開したのはホテル秘境の湯とホテル祖谷温泉。サンリバー大歩危は19日、いやしの温泉郷は7月23日に再開する予定。ホテルかずら橋は7月1日、峡谷の湯宿大歩危峡まんなかは同4日にそれぞれ再開を予定している。(福家司)

     ◇

 徳島県は、観光施設の渦の道と大鳴門橋架橋記念館エディ(いずれも鳴門市)、美馬野外交流の郷(四国三郎の郷・美馬市)の休業期間を18日まで延長する。休業は5月末までの予定だったが、国の新型コロナウイルスへの対処方針を踏まえ、緊急事態宣言が最後に解除された北海道、東京、埼玉、千葉、神奈川の5都道県を含む全国での移動自粛の要請が解除されるまで延長することにした。