途上国に広がる再エネ コストも劣勢
国際的に批判が強い石炭火力発電の輸出に対する公的支援をどうすべきか。小泉進次郎環境相の肝いりでつくられた有識者検討会が先月、石炭火力発電の現状を整理した報告書をまとめた。新たなインフラシステム輸出戦略の骨子に反映させたい考えだ。報告書からは世界が急速に脱炭素化へかじを切る実態が見える。
石炭火力発電は地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を多く排出する。最新型でも天然ガスによる火力発電の2倍の量で、世界のエネルギー起源CO2排出量の3分の1を占めている。日本は主要7カ国(G7)で唯一、石炭火力発電の輸出支援を続けており、世界的な批判を浴びている。
日本政府は、石炭火力発電が途上国のエネルギーアクセスに必要なことや、発電コストが最も安いこと、日本の石炭火力発電技術が高性能であることなどを理由に輸出を進めてきた。だが、報告書はこうした理由を覆す事例を挙げている。
途上国のエネルギーアクセスについては「電気を使用できない人は2018年時点で9億人弱いる」が、「30年までに電力アクセスを得る6割以上の人は再生可能エネルギー(再エネ)による」などと記す。
発電コストについても「14年には化石燃料の発電所が一番安い国が多かったが、20年前半には世界人口の少なくとも3分の2を占める国で、太陽光と風力が最も安くなった」としている。
また、日本の石炭火力発電技術では、日本が輸出支援の対象としているUSC(超々臨界圧発電方式)について、「10年からの中国のプラントのカタログ上の性能は、日本と遜色ない」と示した。
世界は「脱炭素」への動きを…