60年以上続く文通、母のペン友が私に教えてくれたこと

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若松真平
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 和歌山県の実家で暮らしていた幼いころ、母宛てに手紙や封書が定期的に届いていた。差出人は宮城県に住む女性で、郵便受けで見つけるたびに「またいつもの人だ」と思っていた。

 「どんな人なのか深く考えたことはなかったし、母からは『文通してる人』としか聞いていませんでした」と話すのは、娘で名古屋市に住むパート従業員・袴田千晶さん(49)だ。

60年以上続く文通

 72歳の母がその女性と手紙のやりとりを始めたのは今から約60年前。当時、文通がはやっていて、母の友人が雑誌で相手を募集。大勢から反応があって、友人だけでは対応しきれなくなり、「何人かと文通しないか」と誘われたのがきっかけだった。

 その中で今も続いているのが宮城の女性だ。高校入学から結婚するまでの間に一時途切れたことはあったが、半世紀以上も便りを書き合っている。

 子や孫が生まれたことは知っていても、互いに顔を合わせたことはなく、電話で話したこともなかった。2011年に東日本大震災が起こるまでは。

 テレビで被災地の映像を見て…

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