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 観光立県を目指す広島県。だが、新型コロナウイルスで客が激減したうえ、県の休業要請に応じて支給される協力支援金の対象でもない宿泊業者は、苦境に立たされている。「自分で何とかしなさいと言われているようなもの」との声がある一方、新たな活路を見いだす人たちもいる。(西晃奈)

 「国や県が観光業を重要視していないのがわかり、悲しかった」。廿日市市で2月に「ゲストハウスきち」を開業した遠藤まゆみさん(36)はうつむく。

 中型バイクで世界を旅してきた遠藤さんは、ライダーの集える場にしたかった。自己資金や銀行から融資も受けて約1千万円かけ、友人の力も借りて改装に汗を流した。

 だが、開業からほどなくコロナ禍に見舞われた。気候のいい春はかき入れ時で、ライダー向けのイベントも計画していたが延期。4月の予約はほぼキャンセルになった。大型連休は自主休業した。

 県の支援金の話を聞いたとき、漠然と出るだろうと思っていた。「このままだと潰れるところが出て、客足が戻っても受け入れ態勢が万全でなくなる。結果的に県も損するのでは」と感じている。

 売り上げが途絶え、家賃など月30万円が出て行くなか、4月下旬にクラウドファンディング(CF)で資金を募り始めた。経営の苦しさを率直に伝え、頑張る姿を示そうと10日かけて県内を計100キロ走り、SNSに投稿。21日間で165人から110万円が集まった。目標の約2倍だった。

 最近は同業者同士のつながりも強まり、再スタートに向け、ノウハウの交換やコラボ企画の準備も進めている。「みんな逆境。それでも面白いことやろうや、と頑張っている」

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 「体力のない地元の宿泊業者は全国のチェーンホテルに負け、倒れてしまう」。広島市内で計約250部屋のホテルと民泊を運営する「ブレックファースト」の高山巨志(おおし)社長(41)はそう指摘する。

 同社は5年前から、フロントに人を置かず顔認証でチェックインするシステムで運営。人件費を削減できる分、上質な客室を割安で提供できたという。

 利用者の74%が外国人客だった。3月のキャンセルは1千件以上で、5月下旬の予約はゼロ。一方、家賃は月約800万円かかる。

 売り上げは投資に注ぎ、内部留保は潤沢とは言えなかった。パート従業員数十人の雇用は維持できず、「苦渋の決断だった」という。公的支援を当てにしていたわけではないが、「支援金があったら、めちゃくちゃうれしい」と話す。

 最近は、訪日外国人客の利用が当分ないとみて、日本人向けの物件を探している。「帰ってきたお客様に利用してもらえるよう、何でもしていく」と意気込む。