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 今年の最低賃金(最賃)の引き上げ率は、昨年まで4年続いた「3%」には届かない公算が大きくなった。安倍晋三首相は3日、新型コロナウイルスの感染拡大による経済への打撃を受けて「今は雇用を守ることが最優先課題だ」と述べ、政府として掲げ続けている「年3%」の引き上げ目標の実現に、今年は固執しない考えを示した。

 最賃は毎年見直され、7月下旬ごろに労使などが議論した上で決まる。安倍政権は2015年、年3%程度引き上げて「全国加重平均1千円」を目指すと表明。16年からは、政府目標に沿う形で25円以上の引き上げが続き、現在は全国加重平均で901円だ。

 だが、今年は新型コロナで中小企業を中心に経営環境が悪化。最賃がテーマだった3日の全世代型社会保障検討会議で、日本商工会議所の三村明夫会頭は「引き上げは凍結すべきだ」と主張。安倍首相は「雇用、経済への影響は厳しい」と理解を示した。「より早期に1千円をめざす」との方針は、中期的に維持することも表明した。

 一方、会議後に連合の神津里季生(りきお)会長は「雇用を守ることと最賃を上げることは対立概念ではない」と述べ、十分な引き上げを求める考えを示した。今後、厚生労働省の審議会で労使などが議論して引き上げ目安を示し、最終的には各都道府県の労働局が決める。(滝沢卓、吉田貴司、諏訪和仁)