[PR]

 コロナ危機の中で政府が急に検討を始め、約1カ月で見送る方向に転じた9月入学制度。導入したら何が起きるのか。多角的な緊急推計を発表して議論に影響を与えたのは、苅谷剛彦・英オックスフォード大学教授のチームだった。教育格差の拡大に警鐘を鳴らしてきた研究者が、実証的なデータを示すという手法に込めた意図は――。

 ――苅谷さんは12年前に日本から英国へ研究拠点を移しています。1カ月ほど前に突然浮上した日本の9月入学議論に、なぜわざわざ、緊急に反応したのですか。

 「実は9月入学が浮上する前から、日本の状況は心配していました。休校が広がることでいわゆる教育格差の問題が深刻化しているのでは、と思ったからです」

 「4月中旬には、日本にいる知人たちに『政府に要求するだけでなく、民間から何か行動を起こせないだろうか』と相談するメールを送っています。何人かで相談を始めた矢先に、9月入学の話が飛び込んできたのです。動かなければいけないと思いました」

 ――9月入学が実施されたら社会にどういう影響が出るかを調べた緊急推計ですね。教員数が万単位で不足したり新たな待機児童数が10万単位で生じたりしかねないことを、実証的な研究で示しました。なぜ推計をしたのですか。

 「エビデンスに基づいて検討する機会がないまま議論が進むのを恐れたからです。エビデンスとは実証的な根拠のことです。大きな政策を実施したとき、社会のどの部分に、どのような影響が出てくるのか。それを推計した社会科学的試算がないまま9月入学への移行が実現したり見送りになったりしてしまう事態を恐れました」

 ――実現に反対するため、ではなかったのですか。

 「違います。賛成のための推計でも反対のための推計でもないという前提で、日本にいる若手研究者に共同研究を呼びかけました。かつての院生たちです」

 ――なぜ、賛成でも反対でもない立場を重視したのですか。

 「賛否の立場で推計すると予断…

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

この記事は有料会員記事有料会員記事です。

2種類有料会員記事会員記事の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら