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それぞれの最終楽章・がん患者のこころ(5)

がん専門の精神科医 清水研さん

 がんを宣告されて立ち直るのに、たくさん怒りたくさん悲しむことが必要だと繰り返し言ってきました。でも、それができない人がいます。「強くあらねばならない」「期待に応えなければならない」などと考える「must」の心が強い人は、「本当はこうありたい」「こうしたい」という「want」の自分を押さえつけ、あるがままの自分の気持ちを認めることができません。

 昨年末に70歳で亡くなった海野充夫さんは、長年、母との確執を抱えて生きてきました。幼い頃に実父と死に別れ、母は家族の意向で実父の弟と再婚しました。教育熱心な一家で、実父は京大医学部教授、養父は開業医、叔父は東大教授でした。

 中学生の頃から、母に「医者になり、お父さんの跡を継ぐのよ」と強く言われ続けました。反発し、高校時代は荒れました。学校に行くと見せかけて、映画館の常連になり、新聞ネタになるほど雀荘(じゃんそう)に通うわ、けんかはするわ。当然、勉強はそっちのけです。母が医学部の受験票を出しているのに受験せず、結局、医者になりませんでした。

 今で言うIT企業に入り、ナン…

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