拡大する写真・図版「その手に触れるまで」(C)Les Films Du Fleuve - Archipel 35 - France 2 Cinema - Proximus - RTBF

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 過激な宗教思想にのめり込む少年の姿を描いた「その手に触れるまで」が12日から順次公開される。カンヌ国際映画祭のコンペ部門に8作連続で選ばれたベルギーのジャンピエール&リュック・ダルデンヌ監督の最新作だ。国際的に知名度を高める「寝ても覚めても」の俊英・濱口竜介監督が、カンヌ常連のダルデンヌ兄弟の監督術に迫った。

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 〈あらすじ〉 ベルギーに暮らす13歳のアメッドはイスラム教の聖典コーランに夢中になり、「大人のイスラム教徒は女性に触らない」と教師との握手をも拒むようになる。やがて狂信的な考えに取りつかれた彼は、ナイフで教師を襲い、少年院へと送られてしまう。昨年のカンヌ映画祭で監督賞を受賞。ダルデンヌ兄弟は、1999年の「ロゼッタ」と、2005年の「ある子ども」で2度パルムドール(最高賞)を獲得している。

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 濱口 お二人の映画で最も感銘を受ける点は、フィクションにもかかわらず登場人物が「本当にそこで生きている人にしか見えない」という点です。どうすれば演者はそのような身体を獲得するのか。お二人は実際のロケ現場でリハーサルに時間をかけることで知られていますが、具体的に何をするのでしょうか。

役者と監督のみのリハーサル、1カ月半

 リュック リハーサル時間は確かに長く、小さなビデオカメラで撮影もします。実際に撮影で使われる美術や小道具を使って、身体とカメラの動きを決めます。セリフを決める前に動きを決めるわけです。リハは1カ月半続けます。

拡大する写真・図版ジャンピエール・ダルデンヌ(左)とリュック・ダルデンヌの兄弟

 ジャンピエール 私たち2人と俳優だけのリハですが、大勢のスタッフがいないことで俳優はそこで恐怖心を捨てることができる。そして、私たちもそこで作品のリズムを見つけることができるのです。

 濱口 例えば、ナイフで教師を襲ったことで少年院に入れられたアメッドを訪ねてきた母親が涙し、ハンカチを探しますが、そこにハンカチがなかった、という場面があります。それは即興から生まれた瞬間のように見えました。演者は実際にそのキャラクターの生を生きてきたように見えます。

こだわりは「カメラを適切な位置に置かない」こと

 リュック 母親がハンカチを探…

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