拡大する写真・図版浙江省のマスク工場。生産体制を強化しての増産が続いている=新華社

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 新型コロナウイルスの感染拡大で一時は店頭から消えたマスクだが、この先、簡単に手に入るようになるのだろうか。コロナ禍以前、日本の流通量の7割近くを支えていた中国の生産状況は、日本のマスク事情を大きく左右する。現地の業者に現状と見通しを聞いた。

マスク輸出、509億枚

 浙江省嘉興市の工業団地の一角にある工場では、フル稼働でのマスク生産が続いている。エプロンにマスク姿の従業員たちがレーンの上を流れてくるマスクの品質をチェックしていく。注文増に対応するため、アルバイトも雇用した。

 中国税関によると、3月1日から5月16日までに中国から輸出されたマスクは509億枚に上る。浙江省は1~3月の統計でマスクの輸出額が国内最多の一大生産拠点で、米国と日本が主な輸出先だ。

拡大する写真・図版中国・浙江省の地図

 日米向けのマスクを生産する経営者の男性(51)は「世界的に需要が高まっている。休日なしの態勢が続きそうだ」と話す。

 この工場はもともと米国の大手スーパーが主な取引先で、マスクのほか芳香剤や手袋なども作っていた。だが新型コロナの感染が拡大した1月以降、全ての生産ラインをマスク用に変更。当初は国内向けだったが、国内の感染状況が落ち着いた2月下旬以降は輸出向けに軸足を移した。

 日米などから受注が相次ぎ生産が追いつかなくなったため、20万元(約300万円)かかるラインを新たに3本導入。年間20万枚程度だったマスクの生産量は、1週間で300万~350万枚にまで増えた。

 一時は原材料の争奪戦も起き、マスクのフィルターで最も重要なメルトブロー不織布の価格が高騰。ウイルスを含む飛沫(ひまつ)などの遮断率が高い高品質なものは最大で通常の50倍に跳ね上がった。

 それでも「注文数が大きいので十分採算は合う」と、経営者は話す。この工場からは5月だけで400万枚のマスクが日本に輸出され、6月もほぼ同量の輸出を予定している。

拡大する写真・図版東京・上野のアメ横商店街の飲食店の前で販売されていた山積みのマスク=2020年5月24日、東京都台東区、加藤諒撮影

 ただ日本でもマスクの流通量が増え始め、一部では値崩れも起きている。経営者は「(ウイルスの)遮断率95%以上の高品質保証をしているので値崩れは心配していない。ただ、日本は飽和状態になりつつあるので、米国に軸足を移そうと思っている」と話す。

 中国では自動車メーカー比亜迪(BYD)がマスク生産に乗りだし1日2千万枚という世界最大級の生産体制を築くなど、新規参入が相次いだ。中小の業者も乱立して供給が過剰気味に。性能の低いマスクを中心に値崩れが起き、特にウイルスの遮断率が90%以下の低品質のメルトブロー不織布はコロナ前の水準まで下がったとの報道もある。

 粗悪品も出回り、中国政府は問題のあるマスクを4月末までに約9千万枚確認したと発表。輸出先からもクレームが出る事態を重く見て、内外の品質基準を満たさぬマスクの輸出を禁じるなど規制をかけている。(上海=宮嶋加菜子)

プロに聞く、マスクの今後

 今後のマスクの価格や供給の見通しはどうなのか。中国で調達の陣頭指揮にあたる衛生用品メーカー・サラヤの稲津貴文・上海代表に聞いた。

拡大する写真・図版サラヤの稲津貴文・上海代表

 ――日本では長い間、マスク不足が続きました。

 「1月末ごろ、中国政府が数億…

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