宝塚ゆかりの「金看板」 アートセンターの開館記念展
田中ゑれ奈
兵庫県宝塚市の宝塚大劇場そばに1日、宝塚市立文化芸術センターがオープンした。宝塚ゆかりの美術家や建築家ら6人の仕事を見せる開館記念展が開かれている。
例えば、1960年代後半から70年代初頭の「もの派」と呼ばれる美術動向の中心メンバーで、宝塚大学学長を務めた小清水漸(すすむ)。今展で並ぶ、木の板の木目や質感を生かしながら幾何学的なパターンを削り出す平面の「表面から表面へ」と立体の「作業台」はいずれも、「もの派」を離れた1971年以降に確立した代表的な作品群の一つだ。
前衛美術集団「具体美術協会」時代は、素材感や画家の行為の跡を強調する「アンフォルメル」(不定形)の作家として知られた元永定正も、今日ではむしろ60年代後半以降のユーモラスな作風で親しまれる。没後、長く居を構えた宝塚市に寄贈された「具体」脱退後の版画作品50点は、簡潔な形と色、タイトルの無心な言葉選びが楽しい。最晩年の作品ではそこに初期のたらし込みの技法が融合し、集大成の趣を見せる。
「世界に名だたる『もの派』…