北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの父で、「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」(家族会)の前代表、横田滋(よこた・しげる)さんが5日、老衰で死去した。87歳だった。

 32年、徳島市生まれ。日本銀行に勤め、新潟市で暮らしていた77年11月15日、当時13歳で中学1年だった長女めぐみさんが、下校途中に突然、行方不明になった。北朝鮮による拉致だったことが、97年2月に報道と国会質問で表面化した。滋さんはめぐみさんの名を出して救出を訴えることを決意。97年3月に家族会が発足すると代表に就き、早紀江さん(84)とともに夫妻で拉致被害者帰還を求める運動のシンボル的存在となった。

 02年9月、小泉純一郎首相が訪朝して金正日(キムジョンイル)総書記(いずれも当時)と日朝首脳会談に臨んだ際、北朝鮮は拉致被害者のうち5人が生存、めぐみさんを含む8人が国内で死亡したと伝えた。北朝鮮からは04年、めぐみさんのものとして遺骨が提出されたが、日本政府はDNA鑑定で別人のものと断定した。

 めぐみさんは北朝鮮に拉致された韓国人金英男(キムヨンナム)氏と結婚したと伝えられ、横田さん夫妻は14年3月、めぐみさんの娘で夫妻の孫にあたるキム・ウンギョンさん(32)やひ孫にあたるウンギョンさんの娘とモンゴル・ウランバートルで初めて面会した。

 めぐみさんの誕生から拉致されるまでの13年間を撮影した家族写真展を、05年から国内外の各地で開催。夫妻で各地を訪れて計1400回以上の講演会に臨み、拉致被害者の早期帰還を訴えた。体調不良を理由に07年11月、家族会代表を退任。近年は体調を崩して歩行や会話が不自由になり、18年4月からは入院し療養中だった。