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 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が全面的に解除され、保育園にも子どもたちの姿が戻ってきた。保育士らはマスクの着用や行事の見直しといった感染予防策をとりつつ、こうした対策が子どもの発達の機会を損なうことにならないか、葛藤を抱えている。子どもたちへの影響をどう考えればいいのか。

拡大する写真・図版東京都板橋区のわかたけかなえ保育園の給食風景。感染防止対策の一環で、保育士は子どもと一緒に給食を食べることをやめ、マスクを着けたまま食事を見守る=同園提供

一緒に給食やめ 離れて見守り

 「先生、おいしいよ」「本当だ、おいしいね」

 こんな子どもとのやりとりが消えた。東京都板橋区の認可保育園「わかたけかなえ保育園」では、職員が子どもたちと一緒に給食を食べるのをやめた。子どもが食べ始めると、マスク姿の保育士は少し離れた席に座り、様子を見守る。

 これまでは子どもたちと同じ机で給食を食べ「おいしい」と共感したり、食材や調理法に関する話をしたりすることで「食べることの楽しさ」を伝えてきた。食具の使い方やかむことの大切さを伝えるなど、「食」の基本をはぐくむ重要な時間だった。だがそのためにはマスクを外さなければならない。感染予防を優先した苦渋の判断だ。

 山本慎介園長(43)は「宣言解除で登園する子どもたちが増え、感染対策として『できること』『できないこと』が変わってきていると感じる」と話す。

 他の園でも、保育士のマスク着用は日常の風景となりつつある。

 世田谷区の認可保育園「三茶こだま保育園」の保育士たちも、緊急事態宣言の解除で久しぶりに登園してくる子どもたちを受け入れるたび、マスクによる影響の大きさを感じている。

 0歳児、1歳児のクラスでは、慣らし保育も十分にできないまま、登園できなくなっていた子どもたちがほとんどだ。自宅で保護者と過ごしてきた子どもにとって、久しぶりの保育園はただでさえ不安が大きい。保育士たちは笑顔で子どもたちを安心させようとするが、マスクが表情を隠してしまう。

 園を運営する社会福祉法人呉竹会の石田雅一理事長(55)は「子どもは特に、相手の表情を読み取ってその思いを理解しようとしている。一日中、顔が半分以上隠れた大人と過ごすことは、子どもにとっていかに不安が大きいかということを実感している」と話す。「感染対策として何を取り入れるのが正解か、それで子どもの発達を守れるのか。その時々で悩みながら進んでいくしかない」

拡大する写真・図版マスクをしたまま、0歳児の園児と関わる保育士=東京都板橋区のわかたけかなえ保育園提供

夏祭りや運動会も取りやめ

 園の行事の中止も相次ぐ。

 群馬県内の認可保育園は、夏祭りや運動会といった地域の人が参加するイベントを取りやめた。例年は保護者だけでなく、卒園児や近所の住民も集まっていた。地域の中で子どもに育っていってほしいとの思いだったが「不特定多数が集まる場」になってしまうことを考え、中止を決めた。

 「地域との交流など、いつかは再開できるとの希望を持っているが、いつになるか」と園長は話す。

 保護者からも惜しむ声があがる。東京都練馬区の女性会社員(36)の次男(5)が通う保育園では、親子遠足やお泊まり保育が中止に。運動会も保護者の参加が難しそうだという。

 行事の中止を聞かされた次男は…

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