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 8月に湯沢町の苗場スキー場で行われる予定だった「フジロック・フェスティバル」の中止を5日、同フェス事務局が発表した。悪天候による一部中止はあったが、完全な中止は初。国内最大級の野外音楽イベントの中止が、地元経済に与える影響は大きい。

 フジロックは1997年に富士山麓(さんろく)で開かれたのが始まりで、99年から苗場スキー場に会場を移した。2018年にはボブ・ディランがノーベル文学賞受賞後初の来日公演をし、話題になった。毎年7月の最終週の金曜~日曜の3日間開かれるが、今年は同時期に東京五輪の開催が予定されていたため、8月21~23日に日程をずらしていた。

 苗場プリンスホテル広報の駒形大樹さんは「現状では『残念です』以外のコメントを出せません」と言葉少なだ。例年フジロックの期間中、会場となるスキー場もホテルもすべてを主催者が借り上げ、個人客はない状態。今年は、新型コロナの影響で4月25日からホテルは休業、同日から始める予定だった観光ゴンドラ「ドラゴンドラ」の新緑の季節の営業(5月31日まで)も中止した。「7月中旬からホテルの営業再開を予定しています。多くの人が来てくれると良いのですが」と駒形さん。

 65軒ほどの宿泊施設が加盟する苗場観光協会の佐藤高之会長は「昨冬の少雪によるスキー客の減少に夏のフジロック中止。このダブルパンチはとても厳しい」と声を落とす。

 苗場というと冬季のスキーのイメージだが「それは20年前まで」という。今はフジロックなどのフェスやコンサート、高校や大学の運動部の合宿など夏場の営業が収入の軸だ。「夏6対冬4ぐらい。合宿もほぼキャンセルになった」

 フジロックは苗場にとって「一大産業」だ。観客の大半は、前夜祭の木曜からフェス最終日の日曜まで4泊し、翌日の月曜に帰る。一方、スタッフや設営業者などはその期間を含め3週間ほど苗場に詰めるという。「フジロック期間の宿泊は、例年この時期には予約で満室になります。フェスの最終日に来年の宿泊を予約するリピーターも多く、宿泊業にとっては固定収入が見込めるイベント。冬の営業はしないで夏だけの人もいる。それがゼロになるのは本当に厳しい」

 今年は「五輪特需」の期待もあった。2月にアルペンスキー・ワールドカップが苗場で開かれ、全世界に放映された。「五輪で来日した外国人を中心に宿泊客が多くなると予想し、合宿をやらないホテルや旅館も増収を見込んでいました」と話す。「政府の観光業支援策もあるようですが、今年失った分を取り返せるほどではないでしょう。なんとか生き残り、10年で元に戻したい」(伊丹和弘

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