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 新型コロナウイルスの感染拡大のなかで、一躍大人気になった「妖怪アマビエ」。そもそもどんな妖怪で、なぜ人気が出たのか。調べるうちに、浮かんできた意外な事実とは?

拡大する写真・図版疫病を予言するとされる妖怪たち

 Q 疫病よけの言い伝えがある「妖怪アマビエ」が人気だね。どんな妖怪なの?

 A アマビエは江戸時代の弘化3(1846)年、肥後国(ひごのくに)(熊本県)の海中から現れたとされる半人半魚の妖怪だ。「もし疫病(えきびょう)が流行したら、私の姿を描いた絵を人々に見せよ」と言った、と伝えられている。

 Q どうして急に人気になったの?

 A 新型コロナウイルスが国内で広がり始めた2月末、妖怪掛け軸(じく)の専門店がアマビエのイラストを描いてSNS上に投稿したのがきっかけといわれているよ。漫画家らも独自のイラストを投稿して注目を集めたんだ。お菓子やぬいぐるみを作る人も現れ、啓発用に厚生労働省まで使った。

 Q 江戸時代も、さぞかし人気者だったのだろうね。

 A 実はそうではないらしい。アマビエは、京都大学付属図書館が持つ瓦版だけにしか残っていない。同じように疫病の流行を予言する妖怪はもっと古くからいて、記録も多く残っているので、そちらの方が人気だったようだよ。

拡大する写真・図版長髪に鳥のようなくちばし、うろこのある胴体、毛むくじゃらの3本足が特徴の「アマビエ」=京都大学付属図書館所蔵

 Q それは意外だ。どんな妖怪なの?

 A 18世紀後半には登場していたらしいけど、自分の姿を写して広めるように言い始めたのは、女性の顔に竜の体、剣の尾を持つ「神社姫(じんじゃひめ)」(1819年)が最初らしい。

 その後は人の顔を持つ牛の妖怪「件(くだん)」(クダベ)が登場し、1843年には3本足の猿のような「アマビコ」が流行した。アマビエは、このアマビコを写し間違えたもの、という説が有力なんだ。

 Q 昔の人は、妖怪の力を信じておったのかな。

 A 近代医学が発達する前、原因が分からない災厄と闘うには人知の及ばない力にすがるしかなかった。妖怪には人々の疫病への恐れと、退散への願いが込められていたんだ。それは現代でも変わらないのかもしれない。(渡義人)