[PR]

 新型コロナウイルスの第2波に備え、神奈川県がクラスター(感染者集団)対策に力を入れている。緊急事態宣言が解除され、各医療機関が日常的な医療の再開へと舵(かじ)を切る中、大規模なクラスターの発生によって水を差されたくないとの考えからだ。

 朝日新聞社の調べ(6日時点)では、県内でこれまでに確認されたクラスターは、病院や特別養護老人ホーム、グループホームなど7市町で計23カ所を数える。横浜市が13カ所で最も多く、聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院(旭区)では感染者79人(患者36人、職員43人)、死者12人が出ている。

 また、川崎市では川崎協同病院(川崎区)と関東労災病院(中原区)、グループホームの計3カ所、相模原市でも相模原中央病院(中央区)と民間福祉事業所の計2カ所で発生。そのほか、小田原市で2カ所、厚木市、大和市、開成町でそれぞれ1カ所ずつ確認された。

 クラスターが発生した施設では、人員・物資の両面で厳しい闘いを強いられる。横浜市内のある病院では、入院患者から看護師らに感染が広がったとみられている。看護スタッフの一人によると、多くの職員が濃厚接触者として自宅待機となり、夜勤の人数が減るなど人手不足に拍車がかかった。

 資材も不足し、病院から支給されたのは一般的なサージカルマスクが週1枚だけで、自宅から持参する人がほとんど。患者のたんを吸引したり体を動かしたりする時、患者がせき込んで飛沫(ひまつ)を浴びることもあるが、同じマスクを使わざるを得ず、「恐怖や不安で精神的にもたない」と話す。

 また、肺炎の症状など感染の可能性がある入院患者を受け入れる際、PCR検査を実施せず、不信感を抱いて離職した人もいるという。(末崎毅、武井宏之

     ◇

 県はこうした中、医療機関などでのクラスターに対処する特別チーム「C―CAT(シーキャット)」を5月、県対策本部に設けた。名称は「Corona(コロナ)―Cluster(クラスター) Attack(アタック) Team(チーム)」の頭文字に由来する。

 主要メンバーは、県内の医療機関に勤める医師と看護師計8人。クラスターにはまずは各地の保健所が対処するが、保健所から応援要請があれば出動する。

 主な任務は、感染者と非感染者の区域分けをする「ゾーニング」や感染症に関する指導、防護用のガウンやマスクなどの調達、患者の搬送先の調整などだ。これまでも県対策本部のメンバーがクラスターの発生現場へ支援に出向くことはあったが、専門的な知識をもつ医師らが機動的に対応することで、感染拡大を小規模に抑える狙いがある。

 チームはこれまでに、小田原市立病院と高台病院(開成町)でのクラスターに対処するために出動した。市立病院では、患者と接する職員がガウンやマスクを着脱するタイミングや、手指消毒の徹底などを指導した。高台病院では、不足していたガウンやマスクの調達を支援した。

 政府による緊急事態宣言が解除されたのを受け、県は4月から各医療機関に抑制や延期を求めていた、急を要しない入院や手術を再開してもらうと決めた。感染者用に確保していた病床は徐々に減らす。県対策本部の畑中洋亮・医療危機対策統括官は「クラスターをできるだけ小さくすることが、コロナに備えた医療体制の緩和に非常に重要になる」と話す。(茂木克信)