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 新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が解除され、群馬県内でも観光施設や宿泊施設が徐々に再開している。ただ「コロナ後」の運営について当事者は、それぞれの現場で試行錯誤を重ねている。

 ●大宴会もうない?

 みなかみ町の猿ケ京温泉にある猿ケ京ホテル。ロビーなどから見渡せる赤谷湖の新緑が、徐々に色濃くなる季節だ。

 「ここにいらっしゃるお客様はみんな絶景に声を上げられます」と話すのは、女将(おかみ)の持谷美奈子さんだ。特に自粛が明けてすぐに来訪した常連客は、久しぶりの眺めを喜んだという。

 5月15日から営業を再開したホテルだが、もてなしのスタイルは一変した。

 ホテルに入るとまず、フロントに設けられた透明な仕切りが目に入る。飛沫(ひまつ)を警戒して取り付けた。アクリル板によるしっかりした仕切りにしなかったのは、「感染が落ち着いたときには取り払えるように、あえて仮設の形にしたかった」と持谷さんは話す。

 宿泊客は最大約150人の受け入れが可能だが、今後しばらくは100人ほどにとどめる方針だ。宿泊客には検温をお願いする。ロビーやエレベーターなど、不特定多数の人が触る場所は消毒を30分に1度行う。大部屋で供していた朝晩の食事は、テーブルの間隔を2メートル以上開け、希望する客には部屋食も提案する。

 「大型バスでいらっしゃる大勢のお客さんが宴会場で飲食して、みんなで大浴場に入る。ついこの間までのスタイルは、今後はないのでしょうね」。ホテルの名物でもある民話を聞く会や大浴場に併設されているサウナの運営は、再開するか慎重にならざるを得ない。

 「ホテルは様々な業者の方々の支えで成り立っている。営業を継続するための工夫を考えて続けないと」

 ●乗車のたびに消毒

 5日に再開した伊勢崎市の華蔵寺公園遊園地も、がらりと変えた。「3密」を防げない一部のアトラクションを除き稼働を再開したが、現在は来園者を伊勢崎市内在住者に限っている。また、客の利用後は必ず消毒する方針を決めた。

 難渋したのは、名物の観覧車だった。常に動き続ける36のゴンドラを、どう消毒するのか。

 決めたのは、こんな方法だ。客が降りたゴンドラは、「空き」の状態にして1周回る間に換気する。戻ってきたところで職員が乗り込み、椅子や手すりを素早く消毒。乗客の乗り場で職員が降りる――。

 境野哲也園長は「来園者だけでなく、職員の安全も考えた。ただし、他の遊具も同様だが、運営しながら改善していくしかない」と打ち明ける。

 ●県内から全国へ

 営業手法の変化を余儀なくされる観光業界。観光客の8割ほどが首都圏からといわれる群馬だけに、県は今後全国で展開される「Go Toキャンペーン」に期待する。

 県は5日から、県内在住者が県内のホテルや旅館に宿泊する際の費用の一部を県などが負担する「愛郷(あいきょう)ぐんまプロジェクト 泊まって! 応援キャンペーン」を始めた。県はこれを助走として、全国からの客の受け入れを広げていきたい考えだ。

 4~6月に大展開する見込みだった「群馬デスティネーションキャンペーン(DC)」は、外出自粛やイベント中止でほとんど効果を上げられなかった。

 群馬DCを担当する県の青木学・DC推進係長は「宿泊キャンペーンを契機に、感染が落ち着いて行き来するようになる全国の客をスムーズに取り込みたい。その際はDCで準備した様々なプランや観光資源を生かせると思う」。(寺沢尚晃)

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