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 新型コロナウイルスの影響で休館していた県内の小規模映画館(ミニシアター)2館が、この土日に営業を再開した。再開初日に駆けつけた映画ファンは安堵(あんど)した一方、感染対策で座席数を減らすなど、しばらくは「縮小営業」を強いられる。継続的な支援の必要性を求める声があがっている。

 「自粛生活で映画は心のビタミンだと気づきました」。7日午前9時半、約2カ月ぶりに営業再開した深谷市のミニシアター「深谷シネマ」の竹石研二館長(72)はスクリーン前で来場者15人にこうあいさつした。初回は4月中旬から上映を延期していた映画「家族を想うとき」(ケン・ローチ監督)の上映。上映後、美里町から駆けつけた常連客の秋山暁さん(59)は「映画館で観る映画は、やはり感動の度合いが違いますね」と喜んだ。

 2010年から酒蔵跡地で営業する同館は緊急事態宣言が出された直後の4月9日から休館に。約2カ月で家賃や人件費など計約200万円の損失を出した。クラウドファンディング「ミニシアター・エイド基金」からの支援金で事なきを得たが、当面は感染予防のため、座席の間隔を空けて通常の半分の28席で営業する。竹石館長は「人気作品の上映時は席が足りなくなるかも」ともらす。

 一方、川越市の老舗映画館「川越スカラ座」は6日に再開した。初日は常連客など39人が来てくれた。支配人の舟橋一浩さん(48)は「ネットの映画配信にお客さんが流れなくてよかった」と胸をなでおろす。

 同館は休館中に映画ファンから支援が集まった。昨年56人だった賛助会員数は3倍以上の175人に増え、Tシャツなどオリジナルグッズの注文数は今年だけで700を超えたという。スタッフの飯島千鶴さん(46)は「ピンチのときほどお客さんの支えを実感します」。ただ同館も当面は週4日営業。上映回数を1日2回に減らすという。

 一般社団法人「コミュニティシネマセンター」によると、全国にはミニシアターと名画座が計127館ある。ほぼ全てが4~5月にかけて休館し、多くは再開後も縮小営業を余儀なくされているという。岩崎ゆう子事務局長は「当面は赤字経営が続くのでは」と心配する。

 昨年公開された約1300本の映画のうち、半数以上は「ミニシアターのみ」で公開された。映画文化の多様性はミニシアターで支えられている。岩崎事務局長は「存続には一時的な休業補償ではなく、政府の継続的な支援が必要」と訴える。(吉岡資)