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 東日本大震災クラスの津波の浸水シミュレーション結果について、宮城県気仙沼市が一部のデータを修正したうえで議会に説明していたことが分かった。こうした修正はこれまで明らかにされておらず、議会からは市の対応に疑問の声があがっている。

 シミュレーションは、計画当初と防潮堤の高さなどが変わったところがあるため、現在の災害危険区域が妥当かどうかを調べるために実施した。市は昨夏、修正後のデータを基に議会に対し「大きな齟齬(そご)はなく、区域変更は不要」と報告していた。だが、実際は現在の区域の外でも、2メートル未満の浸水場所があるとの結果が出ていたという。

 シミュレーションの結果を情報公開請求している市議の今川悟さん(45)が取材に明かした。市は5日、今川さんにシミュレーションの結果を開示。この中で設定条件として「(2012年度に実施した最初の)危険区域設定時の津波シミュレーションと比較して変化がみられるものの、建物の構造に影響を与えないと判断される範囲については除外する」との一文があったため、データの修正に気づいたという。

 今川さんはこのままでは区域設定の公正さを検証できないとし、再び情報公開を請求。「なぜ修正したのかを議会でただしたい」と話す。菅原清喜議長も「修正は初耳だ。市民の生命安全に関わる問題で誠に遺憾。再度説明を求めたい」と言う。

 市住宅課の担当者は、現在の区域の外に浸水する地点が出たものの、2メートル未満であればシミュレーションの結果から除外した、と認めた。木造家屋の倒壊の恐れが高まるとされる「2メートル以上」を、区域の設定条件にしている自治体が多いことを参考にしたという。

 「2メートル未満」では、すでに建物が再建されたところもある。ただ、担当者は「仮に東日本クラスの大津波が来たとしても、すでに区域設定で一定の安全は守られている。丁寧に説明していく」と話している。

 市は震災後の2012年度、当時の防潮堤の計画をもとに津波のシミュレーションを実施。この時に計約14平方キロを災害危険区域に指定した。だが、その後に防潮堤の高さが変わるなどしたため、16~18年度に改めて調査した。

 市は修正を加えたデータを基に19年8月、市議会に「初めの調査と比べて浸水想定に大きな変化はなかった」と報告したが、データそのものは「内部検証のためのもの」として公表しなかった。今川さんは情報公開請求したが、市は「混乱を招く」として非公開とした。しかし今春、市情報公開審査会が公開を容認する答申を出していた。(星乃勇介)