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 隣接するアパートで発生した火事にいち早く気付き、初期消火を成功させた熊本の男子高校生2人とその母親が8日、熊本市北消防署から表彰を受けた。

 表彰を受けたのは、熊本市北区に住む開新高校(熊本市中央区)2年の植田海斗君(16)と母親の歩さん(42)、植田君と同じ高校に通う3年生で熊本県阿蘇市の鶴留凜(つるどめ・りん)君(17)。植田君と鶴留君は軟式野球部のチームメートで仲良しだ。

 5月25日未明、この日から再開する高校の課題を終わらせるため、2人は植田君の自宅で一緒に勉強をしていた。午前3時ごろ、物音に気づいた植田君が外を見ると、隣の2階建てアパートの1階の窓から炎が見えた。歩さんに119番通報を頼み、鶴留君と火事現場に駆けつけた。

 アパートは火元の部屋を含め6部屋ある。2人はそれぞれの部屋のドアをたたいて避難を呼びかけたが、誰も起きてこなかった。

 火元の部屋の玄関は鍵がかかっていなかった。鶴留君が中に入ると、煙が充満し、台所のシンクが燃えていた。住民の男性に「出て下さい」と声をかけても外に出ようとしなかった。

 植田君は、後から駆けつけた大家の男性から消火器を受け取って部屋に入った。煙で視界が悪かったが、鶴留君の指示に従い、高校で習った通りに消火器を操作した。無事消し止め、床面積1平方メートルの焼損にとどまった。

 この部屋に住む男性は同日、現住建造物等放火の疑いで熊本県警に現行犯逮捕された。「灯油をまいて火をつけた。大家と金銭トラブルがある」と話したという。

 表彰式で、緒方昭洋署長は「(高校生)2人の勇気と正義感が火事を止めた」とたたえた。植田君は「人を助けることが大切と思って行動している。消火活動が迅速にできてよかった」。鶴留君は「気付いたからには当たり前の行動で、とっさに体が動いた。将来は人のためになる仕事に就きたい」と話した。(井岡諒)