WHO「世界的には状況悪化」 中南米など感染拡大継続
世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は8日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染について「欧州では状況が改善されたが、世界的には悪化している」との見解を明らかにした。よい兆しが見える国でも「油断することが最も危険だ」と述べ、ウイルスの再拡大を抑える対策の実行を訴えた。
テドロス氏によると、WHOが報告を受けた新たな感染者数は、過去10日間のうち9日で10万を超え、7日は13万6千人超だった。米大陸と南アジアが拡大の中心となっているとした。
WHOの緊急対応責任者マイク・ライアン氏は会見で、感染拡大が続く中南米の状況について「メキシコからチリまで、いくつかの例外を除いて全体的に感染者数が増加している」と指摘。「この病気を制御するため、強いリーダーシップが求められている」とした。
ライアン氏は、感染拡大が続くブラジルで保健省がホームページ上で累計の感染者数や死者数の公表をやめたことに関連して「混乱が起きているらしいが、ブラジル政府が解決できると信じたい」と述べた。
テドロス氏はまた、米国での黒人殺害事件をきっかけに世界的に広がる人種差別反対の運動について「WHOは完全に賛同する」と表明した。抗議集会に参加する際は、人との距離を1メートルとるなどの感染予防を励行するよう呼びかけた。(ウィーン=吉武祐)
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