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 鹿児島県の薩摩川内、日置、阿久根の3市が、計72万枚のマスクを中国のメーカーから共同輸入した。仲介したのは、薩摩川内市と長く友好都市関係にある常熟市(江蘇省)。コロナ危機の中、両市はマスクを無償で送りあう支援も行っており、培ってきた「絆」が今回の大規模調達につながった。

 両市が友好都市となったのは1991年。双方による公式訪問をはじめ、スポーツや文化などの人的交流を重ね、互いの港を活用した経済交流にも取り組んできた。2010年に起きた尖閣諸島沖の漁船衝突事件で日中関係が悪化した時期も、交流が絶えることはなかったという。

 コロナ禍での助け合いを始めたのは薩摩川内市。今年1月、中国・武漢での感染拡大を受け、市の担当者が常熟市に「何か手助けできることは」と連絡すると、マスクが足りないとの返事。県内でもマスクが品薄になり始めた時期だったが、市の備蓄マスクから3万枚を送ることを岩切秀雄市長が決め、同月末に航空便で急送した。川内商工会議所なども続き、常熟市へのマスク支援は計4万3800枚に達した。

 その後、中国のコロナ危機が収束傾向となる一方で、日本では感染が拡大してマスク不足が深刻化した。すると3月22日、常熟市から薩摩川内市に「5万枚を支援する」との連絡が入った。

 だが、それだけでは足りない。そう判断した岩切市長が4月6日、マスク購入の仲介を常熟市に頼むと、「日本への輸出基準をクリアし、滅菌した信頼のおける製品を届けられる」という中国のメーカーをその日のうちに紹介してくれて、調達枚数や価格の交渉が始まった。

 担当した薩摩川内市交通貿易課によると、4月中旬に「50万枚、輸送コストなどを含め1枚当たり35円」で話がまとまった。その頃の国内価格は80円を超えていたという。有馬真二郎・課長は「担当者は『常熟市からよろしくと言われている』と話していた。そのフォローには感謝しかない」と振りかえる。

 日本に船で送るコンテナ一つには、72万枚のマスクが積み込めた。そこで薩摩川内市は、近隣の日置、阿久根両市に共同購入を打診。22万枚が追加された結果、調達費は1枚33円を切ったという。

 マスクは無事に届き、今月3日に薩摩川内市であった引き渡し式に3市長が顔をそろえた。岩切市長はあいさつに付け加える形で「(現状で)マスクの値段は下がっているが、感染の第2波、3波を考えれば、時宜を得た購入だった」と話した。

 同市は今回のマスクを老人ホームなどの福祉・介護施設や医療機関に配るという。(城戸康秀)

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 常熟市 薩摩川内市によると、上海市の西約100キロにあり、人口約150万。長江デルタ経済圏の主要工業都市で、中国の「財神県市(お金の神様が集まる県市)」というランキングで上位に入っているという。京都府綾部市とも友好都市関係にある。