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 昨年10月の東日本台風で被災したみそ蔵を復活させようと、長野市の長沼地区で「キセキのみそ復活!プロジェクト」が始まった。小川醸造場(同市津野)は千曲川の堤防決壊で蔵や仕込み中の全てのみそを流されたが、鑑評会への出品で難を逃れたみそから酵母や乳酸菌などの微生物を県の協力で抽出することに成功。日本一に選ばれたみその復活に挑んでいる。

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 9日、被災地の畑に子どもたちの笑顔が広がった。

 市立長野中学校(長野市徳間)の1年の生徒たち70人が、醸造場近くにある30アールの畑で信州産大豆「ナカセンナリ」の種まきに励んだ。宮沢栞さん(12)は「日本一のみそがなくなってしまうのは寂しい。みそを残してもっと増やせたらいいなと思う」と、作業に汗を流した。生徒たちは5日の総合学習の時間にみそ造りを学んできた。学年主任の青木大暁教諭(45)は「地元の産業や人の思いを学べる。発酵の研究などもできれば」と喜んだ。

 被災した醸造場は創業135年。4代目の小川泰祐さん(64)は、この地で栽培した大豆を使い、蔵にすみ着いた独自の酵母や乳酸菌で発酵させる製法を続けてきた。深い味わいが評判となり、首都圏にも全体の3割を出荷していた。

 台風が襲来した昨年10月12日夕、家族を先に避難させた小川さんは、大切なみそを浸水から守ろうと、蔵で原料などを台の上に移す作業を続けた。深夜になり、周囲に水が近づいているのが見えた。「堤防を水が越えたのか」

 危険を感じ、作業をやめて敷地内の自宅2階に避難した。数時間たった翌13日午前4時前、ゴーッという音とともに濁流が家にまで押し寄せた。約200メートル先で堤防が決壊。ぼうぜんと見守るしかなかった。

 朝、外の様子をうかがうと、平屋のみそ蔵は水圧やがれきで押しつぶされていた。菌が付いたたるやタンクのほか、大豆や米、塩、春先から仕込んでいたみそ約4トンも壊滅。大豆畑も泥まみれになっていた。

 被災から17日後、途方に暮れていた小川さんの携帯電話が鳴った。全国味噌(みそ)鑑評会に出品した「極醸 地大豆みそ」が最高賞の農林水産大臣賞を取ったとの知らせだった。このみそを送ったのは被災の5日前。その時、小川さんはふと思いつく。「仕込みに使っていた微生物を取り戻せるんじゃないか」

 約1カ月後、500グラム入りのみそを東京から取り寄せ、県工業技術総合センター(長野市)に相談を持ちかけた。同センターは「信州みその高い技術が失われないよう支援したい」(斉藤敦研究員)と、みそから取った酵母や乳酸菌をシャーレで培養。今年3月までに抽出に成功した。

 あと必要なのは、大豆とみそ蔵…

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