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 新型コロナウイルスの第2波に備えた対策で、県は感染が拡大した「警報」時でも、小中学校に一律の休校は要請しない方針だ。「子どもの患者は少ない」とも言われるが、医学的にどんな背景があるのか。県専門家会議の委員で、子どもの感染症に詳しい新潟大の斎藤昭彦教授(小児感染症学)に話を聞いた。

 ――県の専門家会議ではどんな意見を

 学校がクラスター(感染者集団)の中心になることは少なく、一斉休校はやめた方がいい、と提案した。感染者が出た学級は、2週間くらい休みになるのは仕方がないが、(学校全体では)全く接触していない子もいる。感染させて良いとは言わないが、病院とは違い、学校には健康な子どもがいる。「患者が出たら休校」というのが、本当に有効か、検証は十分にされておらず、どのようなメリットがあるかは分からない。

 これまで(一斉休校で)失われたものが多い。「危険だから」と言っていると、そこが埋まらない。

 ――県の基準では臨時休校しても適宜再開する、と

 確かに、感染者が出たら、誰に接触したか、他の学年と接触していないかを調査する時間が必要だ。個別の状況に応じて判断する方が良い。

 ――北九州市の小学校では6人が感染する例も

 海外でも学校クラスターの報告は少なく、今回はまれな事例。マスクはしていたか、どんな接触をしていたか。解析することが一番大事で、何が言えるかを考える必要がある。この事例から学ぶことは多い。

 ――「子どもの患者が少ない」とよく言われる

 もし人口比通りに感染するなら(子どもの感染割合は)15~20%程度になるはずだが、中国では約2・5%、日本でも約4%。子どもの患者数が圧倒的に少ないのは事実だ。

 ――なぜでしょう

 ただ、症状が出るのと感染するのは違い、中国で大流行したときに、感染率が大人と変わらないという調査もある。ウイルスが体内に入るには、(細胞の)受容体にくっつくことが必要だ。米国では子どもはこの受容体の設計図となる遺伝子が少ないとの報告もある。ウイルスがついても、体内に入る量が少ないということだ。

 これは、(体内の)高等な免疫機能が十分備わっていない子どもの方が、ウイルスを排除する「自然免疫」が強く出ることと関係しているとの説がある。子どもは水疱瘡(ぼうそう)にかかっても発疹と熱で終わるが、大人は症状が重くなることもこの現象と関係していると考えられている。

 ――もし子どもが感染したら

 感染しても症状が出なければ、せきやくしゃみは少なく、同じウイルス量でも、人に感染させるリスクは下がる。具合が悪い子や、呼吸器症状がある子は、基本的に学校に来ないことになっており、そのような条件を満たせば、他の人には感染させにくい。

 子どもの感染例の多くは大人からで、親がかからないのが一番。子どもが感染し、熱が出るなどしたら、しっかり休むのが大切だ。(聞き手・杉山歩)

小・中学校の臨時休校などの判断目安(案)

・「警報」発令時も一律の休校要請せず

・感染した児童・生徒は治るまで出席停止

・感染者が出た学級は2週間を目安に学級閉鎖

・学校は臨時休校。保健所などに相談し、感染拡大の可能性が低ければ、適宜再開

・周辺の学校にも一律の休校要請せず

・濃厚接触者は2週間の出席停止。学級閉鎖、休校せず

※県専門家会議の資料より