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 新型コロナウイルスの影響で、県内18カ所の公設海水浴場すべての設置中止が決まった。ライフセーバーや監視員のいない海で泳ごうとする人も想定され、安全確保が課題になりそうだ。

 大洗町は8日、7月18日に予定していた海水浴場の設置を中止すると発表した。昨年は「サンビーチ」など2カ所の海水浴場に20万人近い人出があった。基幹産業の観光業が落ち込んでいるだけに、町は観光協会や旅館組合などと開設を視野に検討を続けてきた。

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 それでも中止の判断に至った大きな理由が、ライフセーバーの確保が難しかったことだ。コロナ禍で十分な訓練ができていない上、ライフセーバーの多くを占める大学生が、春に休校となった分を補うため、夏の時期に授業があるというケースが多かったという。

 両親の代から海の家「だいため」を開いている同町の木村和美さん(50)は、「シャワーなどはどうしても密になる。今年は仕方ない」と中止決定に理解を示す。栃木や群馬、埼玉から毎年のように訪ねてくる常連客も少なくない。「1年で1度しか会えない人に会えるのが何よりの楽しみ。夏にやることが急になくなり、心に穴があいたような思いだ」

 県内では8日までに、ひたちなか市や鹿嶋市、神栖市、鉾田市、日立市など8市町にあるすべての海水浴場の中止が決まった。神栖市は、ライフセーバーを確保するめどは立ったものの、周辺の海水浴場が中止する中で開設すれば、客が集中して感染リスクが高まると判断したという。

 「それでも海に人は来るだろう。『開設しないから知りません』とはいかない」。ひたちなか市の担当者は今夏、海の安全対策が大きな課題になると話す。同市では、7日に男子高校生が遊泳中に亡くなる事故も起きた。ホームページなどでの啓発を対策の中心に据えるが、「海に入る人が出てきたときに、どう止めるのかが悩ましい」。

 鉾田市は、昨年約2万人が訪れた大竹海岸鉾田海水浴場の市営駐車場を閉めることも視野に入れる。担当者は「駐車場を開けると、多くの人が来てしまう」。神栖市は駐車場を閉める予定はなく、潮干狩りも認める方針だ。一方、海水浴場を開くはずだった期間中、土日や祝日、市内小中学校の夏休み期間中など人出が予想される日には、市が委託する業者が海岸でチラシを配って開設中止を知らせるという。

 大洗町も、今後対策を検討する。町観光協会の大里明会長(43)は「安全対策は何より重要だが、観光客を受け入れてきた町として、海に来る人を全面的に拒むような流れも避けたい」と複雑な胸中を明かす。(村山恵二、久保田一道)