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 8月10日開幕予定だった第102回全国高校野球選手権の中止を発表したのは、5月20日だった。それから20日余り。形は違うが、同じ8月に甲子園で試合ができることになった。

 選手権大会は原則的に、49地方大会と全国大会で構成される一つの大会だ。新型コロナウイルス感染状況は地域によって異なり、首都圏や北海道などでは部活動が制限されているところもある。学業への支障も懸念され、夏休みの短縮も検討されているなか、8月10日に甲子園に49代表がそろわない可能性があった。

 代わりに、各都道府県で「3年生に最後の試合の機会を」と独自大会の開催について検討が進んでいる。それでも、休校が長引き、選手たちは十分練習できていない。体調に配慮して7イニング制にしたり、トーナメント方式ではなく、1試合だけの記念試合にしたりしている。こうした点でも、選手権大会の開催は難しかったといえる。

 一方で、感染状況は沈静化しつつある。緊急事態宣言は解除され、出場校の宿泊地となる大阪、兵庫で確認される感染者数は1日あたり1桁台に減り、ゼロの日もある。授業、部活動ともに再開する地域が増えてきた。3密を避けながらウイルスと共存する「新たな生活様式」への切り替えも求められるなか、日本高野連も甲子園での試合開催に踏み切った。

 春、夏の甲子園大会は中止となったが、今年甲子園への切符を手にしていたのが第92回選抜高校野球に選ばれていた32校だ。選抜中止発表の記者会見で、出場校への救済措置を問われ、日本高野連の八田会長は答えた。「何らかの形で甲子園の土を踏ませてあげたい」。阪神球団、阪神甲子園球場の協力もあり、王者を決める大会はできないが、各校1試合なら可能という判断になった。

 日本高野連の小倉好正事務局長も「リスクを最小限に抑える方法を採りながら、中止した選抜の選手たちに甲子園に来てほしいという思いがあった」。招待する選手も甲子園大会より2人増やし、20人とした。

 出場校の長距離移動について、日本高野連は公共交通機関の使用を極力避けることを求めた。関東から西の学校には地元でバスをチャーターして来場するよう依頼。北海道、東北の学校には大阪到着時から貸し切りバスを準備する。宿泊も最大2泊を原則とし、近隣校には日帰りを打診する。

 一方で、選手の健康管理や感染リスクを最小限に抑える取り組みは重要課題として残る。運営を担う実行委員会には感染症の専門医を招き、感染者が出た際の対応を早急に検討する。選手権大会向けに作った感染対策ガイドラインも、状況に応じて改良する必要がある。(小俣勇貴