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 広島で被爆の実相に触れ、証言や著作を母語のドイツ語に翻訳している大学院生がいる。焼け野原から立ち上がった人々により復興をとげたこの街に関心を寄せ、今回が2度目の来広となる。「言語の壁をなくし、広島の歴史を広めたい」

 ドイツ東部出身のヴィクトリア・クロップさん(26)は5月から8月までの予定で、国際協力や平和活動に取り組むNPO法人「ANT―Hiroshima」でインターンシップ(就業体験)をしている。

 日本語は4年前から学び始めた。きっかけはアニメ「名探偵コナン」。ドイツでの放送は字幕を付ける分、放送が遅れる。「少しでも早く次が見たい」。独学と、大学での2週間に1回の授業とで、2年ほどすると字幕なしで楽しめるまでに上達した。

 2018年から1年間、広島大学に留学。帰国後に進んだ大学院では平和学と国際政治学を専攻したが、広島に戻ってさらに勉強したいと思うようになった。原爆が投下されたあと、人々がどのように街を立て直したんだろう。どんな暮らしを送ってきたんだろう。「戦争のその後」を知りたいと思った。インターン先を探し、ANTの活動を知った。

 インターン開始前の3月に来日。その後に緊急事態宣言が出され、ANTの渡部朋子理事長と相談して外出自粛中に翻訳作業を始めた。

 被爆体験を語り続け、11年に87歳で亡くなった沼田鈴子さんの証言DVD(27分)に字幕を付けることになった。翻訳を通し初めて被爆証言を聞いた。つらいはずの経験を、時には笑顔を交えて話す沼田さんの姿に心打たれた。

 今は広島大名誉教授の鎌田七男さんの著書「広島のおばあちゃん」を翻訳している。子どもの質問に被爆者のおばあちゃんが答える形で原爆放射線の被害などを紹介する冊子だ。英語版とフランス語版はあるが、ドイツ語版はまだない。鎌田さんからも直々に依頼されたという。

 全119ページで、専門用語も…

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