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 自民党の二階俊博幹事長が有力政治家との関係を強めている。石破茂・元幹事長との距離を詰め、東京都知事選を控える小池百合子知事を後押し。次の党人事や「ポスト安倍」レースをにらんだ動きとみられるが、二階氏と距離を置く勢力では警戒感も広がる。

 9日夜、東京・赤坂の日本料理店。二階氏は小泉政権で要職を務めた面々との会食に顔を出していた。定例メンバーでこの日の会に欠席した小池氏が話題に上ると、二階氏らはその場で電話し激励したという。

 その日午前、二階氏は記者会見で、都知事選で小池氏から推薦依頼があれば「直ちに推薦する」と強調した。党都連は小池氏と対立してきたが、二階氏は早くから「小池氏支持」を明言し、知事選対応の流れをつくろうとしてきた。

 二階氏が動きをみせるのは、盟友の小池氏に対してばかりではない。

 「石破さんは最も経験豊かな政治家の一人。さらに高みをめざし進んでほしい期待の星の一人だ」。8日の会見では、安倍晋三首相に苦言を呈し党内で冷ややかな視線も浴びる石破氏を、そう持ち上げた。9月の石破派パーティーでの講演依頼も快諾し、党内でポスト安倍をめざす石破氏との連携強化との観測が広がった。二階派幹部は二階氏の石破氏評を「リップサービス」と話すが、石破氏の周辺は「当然、連携という話になる」と期待を語る。

 二階氏はこれまでも、安倍首相の党総裁「3選」に向けた党則改正をいち早く主張するなど、先手を打つ政治手法で存在感を高めてきた。「各方面と関係を築き、ここぞで判断するのが幹事長のやり方だ」と二階氏周辺は解説。首相に近い稲田朋美幹事長代行や、政権の番頭役を務める菅義偉官房長官とも良好な関係を築いている。

「4選」支持も 権力の流動化見据え

 二階氏に近い党幹部は石破氏への「接近」について、「『支持』ではなく『支持もできるんだ』と周囲に見せつけている」。二階氏は、安倍首相の党総裁「4選」支持も繰り返している。権力の流動化も見据え手もとの選択肢を広げ、影響力を振るうねらいがあると指摘する。

 一方、二階氏と距離が広がるのが、ポスト安倍候補の一人の岸田文雄政調会長だ。新型コロナウイルス対策では、岸田氏らが主導した減収世帯への30万円給付案が、与党内の不満を代弁した二階氏の一言をきっかけに頓挫。二階氏周辺では「政調がうまく機能していない」と不満が高まる。

 いま党内では次の党役員人事への関心が高まりつつある。昨年9月の人事では首相は岸田氏の幹事長就任を検討したとされ、二階派が猛反発した経緯がある。党内では、今年も幹事長人事をめぐる攻防が再燃するとの予想が語られ、つばぜり合いも始まっている。

 岸田派中堅は「最近の二階さんは強引さが目立つ。これ以上、幹事長を続けるのはどうか」。同派では、野党議員を党内に引き入れたり、不祥事が疑われる議員を自派に抱え続けたりする二階氏への不信も強い。閣僚経験者は「首相が存在感を誇示する二階さんをどうみるか。面白くないのでは」と二階氏を牽制(けんせい)する。(河合達郎)