コロナで店の売上ダウン 賃料の減額、交渉の余地ある?

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コロナ法律相談 回答:小林寛治弁護士

新型コロナウイルスで大きな打撃を受けている、中小企業や個人事業主。どのような悩みを抱え、どう対応していけば良いのでしょうか。読者から寄せられた相談などをもとに、弁護士に聞きました。(聞き手・遠藤隆史

 Q 雑居ビルの一室を借りて飲食店を営んでいます。緊急事態宣言が出されていた間、営業時間が短縮され、収入が激減しました。賃料を減額してもらえないでしょうか。

 A 営業自粛などの影響で、家賃などの固定費が深刻な重荷になっています。国は法人・個人を問わず休業で減収した中小事業者などに家賃の最大3分の2を半年間助成する方針です。

 店舗の賃貸は契約に基づくもので、家主に対する賃料支払いは借り主の義務です。借地借家法では、地価下落などで周辺の賃料相場が下がった場合に限り、借り主は家主に賃料の減額を求める権利がありますが、新型コロナの影響で売り上げが落ちたというだけでは家主が家賃の減額に応じる法的義務はありません。

 しかし、交渉の余地はあります。国土交通省は、コロナ対応で賃料減額や免除に応じた家主側に、固定資産税を減らすなどの特例措置を設けました。まずはこの措置を踏まえ、家賃の減額を持ちかけてみましょう。他の借り主と協力して、家主側に交渉を持ちかけることも有効です。

 弁護士会などが手がけるADR(裁判外紛争解決手続き)も解決策の一つです。弁護士などがあっせん人となり、一時的な家賃減額などの和解契約を結ぶことが可能です。大阪や仙台では、スカイプなどのウェブ会議システムを使ってオンラインで迅速に審理する取り組みを始めています。

    ◇

こばやし・かんじ 2000年弁護士登録。大阪弁護士会の中小企業支援センター事務局長。MBAの学位を持ち、中小企業法務や事業承継問題に取り組む。

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