写真・図版

  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
[PR]

 関西3空港を運営する関西エアポートが10日発表した2020年3月期決算は、売上高と営業利益が前年を下回り、16年4月の関西空港の民営化以降、初の減収減益となった。訪日客増加で続いてきた業績の拡大が、新型コロナウイルスで一変。利用者の回復の見通しはまだ立たず、今後の投資計画も見直す方針だ。

 関西、大阪(伊丹)、神戸の3空港をあわせた旅客数は前年比2%減の4782万人。売上高は同2%減の2158億円、本業のもうけを示す営業利益は同8%減の524億円で、関西エアが関空の運営権を国出資の会社から引き継いで以降、4年目の決算で増収増益が途切れた。一方、18年9月に関空を襲った台風21号の被害に対する保険金の受け取りが増えたため、純利益は同13%増の335億円だった。

 新型コロナによる減収は192億円。これまで8年連続で過去最多を更新してきた関空の国際線の外国人旅客数は20年3月期も1月までは前年を上回る水準だったが、新型コロナによる入国規制が拡大した2月以降、大半が減便に。着陸料など航空系の収入が73億円、免税店や飲食店などの利用者の減少で非航空系の収入が120億円減った。

 大阪出入国在留管理局関西空港支局が10日に発表した5月の関空の出入国者数(速報値)は4179人と過去最低を更新。政府は新型コロナの感染が落ち着いた一部の国からビジネス客の受け入れを再開する検討を始めたが、観光客の受け入れの再開はかなり先になりそうだ。

 関西エアは決算で次の期の業績予想の公表はしていないが、21年3月期の見通しも厳しい。山谷(やまや)佳之社長は「国際線の回復は先が見通せず、苦境が続くことを覚悟している」と語った。

 利用者の大幅な減少が続けば、空港経営にも影響が出る可能性がある。

 山谷社長は関西エアの当面の資金繰りについて、3月末時点の現預金が1280億円と当面は余裕があることを強調。手元資金を増やす金融機関などからの借り入れは検討していないとする一方、「これが1年、3年と長期化すればどうか。その都度考えていくことになる」と語った。

 また、23年までに総額1350億円を投じ、神戸空港の商業施設の改修や関空の手荷物預け入れ施設の更新などを行う投資計画については、「本当に必要なもの以外は全部見直す」と見直しに言及した。

 一方、これとは別に昨年末に公表した関空第1ターミナルの大規模改修については、25年の大阪・関西万博までの完成をめざして予定通り進めるという。訪日外国人客の増加で手狭になった国際線エリアを大幅に拡張する方針だが、「将来を見据えて」(山谷社長)継続するという。

 ただ、訪日客に依存したビジネスモデルには「リスクが顕在化したからには、戦略を考え直す必要がある」(関西学院大学経済学部の上村敏之教授)と指摘する声もある。(神山純一、川田惇史)