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断層探訪 米国の足元 第一部①

 うねる丘陵のはざまに広がる畑と民家が、次々に車窓に映り、消えていく。

 米南部カロライナ地方に典型的な「ローリング・ヒルズ(なだらかな丘陵)」だ。運転席のベイヤード・ウィンスロップ(51)は、労働者、トッド・ウィットリー(51)の話になると止まらなくなった。いましがた訪ねた、ノースカロライナ州ミドルセックスの縫製工場で働いていた男だ。

拡大する写真・図版アメリカン・ジャイアントの縫製工場で話すCEOのベイヤード・ウィンスロップ(中央)とトッド・ウィットリー(右)=3月5日、ノースカロライナ州ミドルセックス、青山直篤撮影

 「同年代だけど、あいつはかなり若い時に結婚したんだ。その奥さんと早くに別れた後、あの仕事をひたすらやりながら1人で息子を育て、大学にやった。本当に頭が下がるよ」

 ボディービルダーのような体格のウィットリーが、工場で器用に布を裁っていた姿が目に浮かんだ。「単調な仕事に見えるだろうけど、日々新しい挑戦がある。できた服を見るとうれしくてね。『おれの手でつくっているんだ』って」。そう話すウィットリーは、この工場で10代から30年間以上、働いてきたという。

 ウィンスロップは、工場を経営する米アパレル企業「アメリカン・ジャイアント」の最高経営責任者(CEO)。綿花から紡績、織布、縫製まで、全てのサプライチェーン(製品供給網)を米国内で完結させ、「メイド・イン・USA」を前面に打ち出す企業だ。

拡大する写真・図版「アメリカン・ジャイアント」取材で訪ねた道順

 冷戦終結後、世界はグローバル化をひた走り、企業はサプライチェーンの効率化を前提として経済成長を追求してきた。膨大な富が生まれる一方、格差の拡大や地域社会の弱体化は、民主主義を弱めた。新型コロナウイルスがもたらした危機は、時代の転機を告げている。ただ、一国に閉じこもる保護主義も答えにはならない。収縮する市場と、統制色を強める国家とが織りなす「コロナ後」の世界。動揺するサプライチェーンの「断層」で針路を探る人々を訪ね、全5回で報告する。

 ミドルセックスの工場「イーグ…

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