新型コロナウイルスによる外出自粛の影響が世界的に長引く中、中国では6月1日に始まったネット通販の一斉セールで、商品をライブ配信で紹介する「ライブコマース」が大流行している。
コメント機能などで視聴者の疑問に答えつつ、動画で商品を紹介できるのが強みで、企業トップが自ら出演するなどの動きも出ている。日本でも外出自粛で客足が激減したアパレルや小売りでライブコマースへの参入が相次いでいる。
ライブの良さは映像で商品の細部をPRできるだけでなく、視聴者の質問に即答できる。新型コロナウイルスで不要の外出を控える人が多いなか、実店舗で商品を吟味できない問題を解決する切り札がライブ配信による商品紹介だ。
中国企業トップ 自らライブ配信
中国でのライブの流行は昨年秋のネット通販セールから始まっていたが、コロナを経て6月のセールで火が付いた。「芸能界がライブコマースに殺到した」と中国メディアが評するように、有名俳優を商品PRに起用する企業が相次いだ。これに対し、大手家電メーカー格力電器(グリー)は同社トップの董明珠会長(65)を起用。中国で最も有名な女性経営者と言える董氏は、俳優に負けない人気を誇る。
4月から自らライブ配信に出演してきた。ライブを始めた理由について、董氏は朝日新聞の取材に「新型コロナで店に客が来られなくなったから」と言う。感染対策が厳しかった1~3月、格力の売り上げは前年の半分にとどまっていた。
董氏の初陣となった4月の初回の売り上げはネットの接続状況も悪く、23万元(346万円)にとどまった。だが、その後は好調で、2回目は3・1億元、3回目は7億元と増やした。
消費者は企業トップならでは…