リモート時代のクラシックとは 鈴木優人と藤倉大
編集委員・吉田純子
コロナ禍の「いま」に心を研ぎ澄ませ、新たな表現を模索する。ポストコロナの風景は、そこからきっと見えてくる。調布国際音楽祭をオンライン開催に切り替えた総合プロデュースを担う指揮者、鍵盤奏者の鈴木優人。リモート演奏を前提とした楽曲を制作した作曲家の藤倉大。クラシック音楽で世界を舞台に活躍する2人に聞いた。
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古楽器、リモートで「第九」 鈴木優人
14日に開幕する調布国際音楽祭は、全日程をオンライン開催に切り替えた。音楽祭はこれが8回目。鈴木優人は「新たな前例をつくる挑戦になる」と語る。
「演奏家はみんな、表現するために生きている。何カ月も待ってはいられない。練習をしている限り、やっぱりどこかに届けたい」
ある日、親しい間柄のウィーンの指揮者、サッシャ・ゲッツェルにインスタライブに招かれた。リスナーの反応に、「聴く力」を存分に培ってきた優れた聴き手たちが今、その力をもてあましていると感じとった。「この人たちとなら、オンラインでもちゃんとつながれるかも」
今回の最も大きな挑戦が、古楽器によるリモート「第九」(21日)。おそらく世界初の試みだ。
編集の試作を見た父の鈴木雅…