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 11日の米ニューヨーク株式市場で主要企業でつくるダウ工業株平均は急落し、前日比1861・82ドル(6・90%)安い2万5128・17ドルで取引を終えた。史上最大の下げとなった3月16日(2997ドル)以来、ほぼ3カ月ぶりの大幅な下落で、下げ幅は史上4番目の大きさとなった。

 新型コロナウイルスの感染拡大が緩やかになったことから、米国では経済活動が再開されてきたが、ここへきてテキサスやアリゾナ、フロリダなど約20州で感染者が増加傾向となっている。感染の「第2波」で経済活動が再び停滞するとの懸念が一気に強まった。

 11日のダウ平均は朝方から全面安の展開となり、下げ幅は一時1900ドルを超えた。経済回復の遅れが業績を直撃する銀行や、ボーイング、キャタピラーなどのメーカー、航空会社などがとくに大きく売られた。

 前日10日、米連邦準備制度理事会(FRB)は、ゼロ金利政策を少なくとも2022年末まで続ける方針を示した。市場では、FRBのパウエル議長が経済・雇用の先行きについての不確実性を強調したと受け止められており、投資家はリスクを避ける動きを強めた。

 原油価格も大幅安となった。ニューヨーク商業取引所では米国産WTI原油の先物価格が前日比3・26ドル(8・2%)安い1バレル=36・34ドルで終えた。原油安を受けてエクソンモービルなどのエネルギー株も急落した。

 これまでのダウ平均は、3月23日の直近の底値(1万8591ドル)から一時45%も急騰し、過熱感が出ていた。失業率が大恐慌以来の歴史的な高水準となるなか、FRBの金融緩和やトランプ政権による巨額の経済対策への期待が先行し、実体経済とかけ離れた値動きになっていた。そこへ感染「第2波」が伝わり、いったん利益を確保するための売り注文が相次いだ。

 ハイテク株が多いナスダック市場の総合指数も急落し、前日比527・62ポイント(5・27%)低い9492・73で引けた。同指数は前日、史上初めて終値で1万の大台を突破したばかりだが、一転して大幅な下落となった。

 白人警官が黒人男性を死亡させた事件を受けて全米で続く抗議デモも、新型コロナの感染を再び広げかねないとの懸念が出ている。感染の「第2波」が現実になれば、経済活動に再び急ブレーキがかかるおそれがあり、市場の動揺が強まっている。

 債券市場では、比較的安全資産とされる米国債が買われ、長期金利の目安となる10年物米国債の利回りは年0・6%台後半に低下(国債価格は上昇)した。

 外国為替市場では、米金利低下などを受けて円が買われ、1ドル=106円台半ばまで円高ドル安が進んだ。午後5時(日本時間12日午前6時)現在では1ドル=106円81~91銭と、前日同時刻比27銭の円高ドル安水準で取引されている。(ニューヨーク=江渕崇)