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 道高野連は12日、中止になった第102回全国高校野球選手権大会に代わって独自に行う、夏季北海道大会の地区大会と南・北北海道大会の日程を発表した。道高野連が主催し、日本高野連と朝日新聞社が後援する。

 道内10の地区大会は7月11日の函館、室蘭地区を皮切りに26日まで開かれる。南・北大会の出場校数は選手権大会と同じ各16校。南大会は札幌円山球場で8月3日に開幕し、9日が決勝。北大会は旭川スタルヒン球場で5日に開幕し、11日に決勝を行う予定だ。いずれも控え部員や保護者を除き、無観客で行う。

 組み合わせ抽選会は選手らが集まらない代理抽選で行い、南・北大会は地区代表決定前に決めておく。軟式の全道大会は7月28日~30日、釧路市民球場で開催する。(能田英二、前田健汰)

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 今夏の独自大会について、道高野連は例年の選手権大会にできるだけ近い形で開くことにした。各校とも夏の大会への思いは強く、各地区から熱望する声が多かったからだ。ただ道内で新型コロナウイルスの感染は収束しておらず、感染予防対策には細心の構えで臨む。

 新型コロナの影響で休校が長引いたことなどから、日程は当初の選手権大会より2週間ほど遅らせた。ただ、9月には1、2年生の新チームで戦う秋季大会が控えることから、さらに延ばすには限界があった。

 宿泊を伴う南・北大会については、感染防止の観点から慎重な声も相次ぎ、出場校を各8校に半減する案も検討した。ただ、減らしたとしても休養日を含め5日間。16校参加の7日間からさほど短くならず、出場機会を狭めないためにも16校を維持した。

 日程は決まったが、大会を終えるまで気を抜けない日々が続く。道高野連が各校に示した独自の感染予防対策では、南・北大会の出場校は可能な限り日帰りとし、移動での貸し切りバスの使用などを求めた。宿泊する学校には、個室の利用や不要不急の外出を避けるよう求めている。

 休校が長引き、選手が練習を十分にできていないことも不安材料だ。選手の安全、健康面への配慮も大きな課題となる。

 いつもなら雪解けの4月から6月まで3カ月をかけて、実戦感覚を養う。それが今夏は約1カ月の準備で大会に臨む学校もある。投手の投げ込み不足など、練習が満足にできていないことでけがが起きる恐れもある。指導者には感染への対策だけでなく、選手のけが防止や熱中症対策などにも細心の注意が求められる。(能田英二)

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 昨年の南・北大会をそれぞれ優勝して2連覇中の北照と旭川大は、共に「3連覇」を目指して気持ちを新たにした。

 北照の斎藤優斗主将は「なくなりかけた大会が復活して、すごくうれしい。チームで練習を始めたのは6月1日からで、全体の仕上がりは6割ぐらい。大会までの残り1カ月で、レベルアップして、南大会で3連覇を目指したい」と話した。旭川大の舘大雅(ひろまさ)主将は「試合という明確な目標ができた。練習に打ち込むみんなの表情からも気合を感じる。大会を用意してくれた方たちに感謝して全力でプレーしたい。白樺学園や旭川実といった強いチームと戦いたい」とうれしそうに話した。(佐久間泰雄、井上潜)

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 「日程が決まり一つの目標が出来たので、あとは逆算しながら、何をしていかなければいけないのか、明確にしていってほしい」。来年3月に閉校になる北海道幕別町の江陵では、谷本献悟監督が部員たちに告げた。尾崎太郎主将は「最後の年に結果を残して、人々の心に江陵の名前を残したい。北北海道のトップをとる」と意気込んでいる。

 部員は3年生だけの20人。すでに閉校が決定した後に、谷本監督を慕って門をたたいた選手たちだ。それだけに今年の夏にかける意気込みも強かった。

 夏の選手権大会は中止になったが、「甲子園大会は無くなっても、お前たちの人生が無くなったわけではない」という谷本監督の言葉に勇気づけられ、「チームの誰一人、モチベーションが下がることはなかった」と副主将の新村虎童選手。谷本監督も「選手たちの姿に私の方が救われた思い」と振り返る。

 これまで3年生は、公式戦では白樺学園と4度対戦し、いずれも敗れている。夏季大会に向け、副主将の千葉周平選手は「北北海道で優勝すれば甲子園出場と同じ価値がある。白樺と対戦してリベンジも果たしたい。大会が楽しみ」と話した。(中沢滋人)

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 離島にある奥尻(奥尻町)は、選手間で話し合って出場辞退を決めた。島外に出ることで、島に感染が広がるのを心配してのことだ。「この島を守りたい」という苦渋の決断だった。

 今月上旬、小学校から島で暮らしている横山海斗主将は、2、3年生の選手とマネジャー計7人を教室に集め、3年生の間で決めていた「出場辞退」を告げた。2年生は「3年生に出て欲しい。試合で引退して欲しい」と訴えたが、「自分たちの思いで大会に出て、島にウイルスを持ち込んだら迷惑がかかる」と説得した。2年生は「そこまで考えていたなんて」と目を見張った。

 町には医療機関が二つしかなく、高齢者の割合も高い。横山主将は「もちろん試合で引退したかった。だけど、僕たちの思いで試合に出て、島に感染が広がったらと思うと、大会に出ても出なくてもモヤモヤすると感じた。島を守るための、選手みんなの前向きな決断です」と話した。

 成田冬真部長は、選手たちが出場を希望することも想定し、準備を進めていたという。同校は地域に根ざした授業も多く、生徒たちには地域と共にあるという意識が強い。「部長としてうれしいと悔しいが混ざった思いですが、選手が前向きに決めてくれて良かったです」と語った。

 横山主将は6月まで後輩たちと練習を続け、来年の夏へと思いを託す。今後、保護者や町の人たちへ感謝を伝えるため、町にいるOBらとの引退試合なども予定しているという。(前田健汰)