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 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、愛知県内54市町村のうち半数を超える31市町が正副市長らの給与(給料)を削減することが、朝日新聞の調べでわかった。厳しい財政運営が求められるなか、巨額の感染対策や経済対策の一部にあてるためだが、議会の否決で削減しない自治体もあり、対応は分かれた。

 今月11日までに判明した31市町は名古屋市を除き、豊橋市や春日井市、碧南市など県内の広い範囲に及ぶ。その大半が正副の市町長と教育長がそろって削る。月給の10~30%程度をカットするところが多い。

 知多地域では、大府市が4月23日に市長ら三役の給与削減を発表。5日後には半田、常滑、東海、知多の4市も発表するなど、地域で足並みがそろった。地域の市町会長を務める半田市の榊原純夫市長が呼びかけたという。三役の削減総額は東海市が約255万円に、知多市が約248万円にのぼる。

 扶桑町の鯖瀬武町長(46カ月、10%)と幸田町の成瀬敦町長(23カ月、10%)は任期満了まで削減を続ける。

 瀬戸市の伊藤保徳市長は「市民の生活困窮や事業者の支援のため、今後も財政出動が必要になる。ごく一部だが、その原資に充てる」と説明。削減分を市の新型コロナ対策基金に積み立てることを明らかにした。知立市の林郁夫市長は「少しでもコロナ対策関連費の財源に充てたいという思いから、自ら身を削る決断をした」。北名古屋市はひとり親家庭への経済援助などの財源にする。

 「コロナで苦しむ市民に寄り添いたい」と口にする市長もいる。市長給与を6カ月間、20%削減する津島市の日比一昭市長は「減額幅や期間に根拠はないが、コロナ対策に使われることで市民の思い、痛みを共有したい」。豊明市の小浮正典市長は自身の給与を来年3月までの10カ月間にわたって20%削るが、「市民の生活が回復するまではずっと削減を続けるつもりで、3月で終わるつもりはない」と、削減期間を延長する考えだ。

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 首長主導の緊急対応に「待った」をかける動きもある。弥富市は「市民に寄り添う姿勢を示したい」として、正副市長と教育長の6月分の給与全額(計約209万円)を削減する条例案を市議会に提出したが、「市長の説明は不十分」などとして否決された。安藤正明市長は「非常に残念に思っている」としている。

 また、削減しない方針を明らかにする市長もいる。刈谷市の稲垣武市長は「これからは消費喚起が重要で、できるだけ市内でお金を使っていくことで業者を応援したい」と話す。安城市の神谷学市長は「私自身の給与を下げると、さらに厳しくなったら特別定額給付金の対応などで忙殺されている一般職の給与減に及ぶ」と、市職員への影響を心配している。

 豊田市の太田稔彦市長は「真摯(しんし)にこの仕事に向き合って、しっかり仕事をしていくのが私の役目」、犬山市の山田拓郎市長は「支援が必要な人たちをいち早く支援するために最大のパフォーマンスをすることが、その人たちに寄り添うことになる。まずは職責を果たしたい」と強調する。

 名古屋市の河村たかし市長は、年間2800万円の市長給与を800万円に引き下げていることを理由に、コロナ対策での削減は考えていないという。

 県内市町議会も市長らに同調するところが多く、議員報酬や期末手当を削減する方針の議会は3分の1を超える20市町にのぼる。政務活動費の一部を返上する動きもある。

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 愛知県は6月期末手当について、知事は20%、副知事や教育長、県議らは10%削減する。大村秀章知事は5月11日の記者会見で、「厳しい状況の県民、事業者の方がたくさんおられるので、せめて気持ちだけでも皆さんに寄り添っていきたい」と話した。

給与(給料)や報酬を削減する自治体

      《首長》     《議員》

豊橋市   11カ月(10%)  9カ月(10%)

瀬戸市   9カ月(20%)         

半田市   9カ月(10%)  9カ月(3%)

春日井市  8カ月(10%)         

津島市   6カ月(20%)         

碧南市   6カ月(10%)         

西尾市   1カ月(全額)  1カ月(50%)

常滑市   9カ月(10%)  9カ月(5%)

江南市   10カ月(20%)  7カ月(5%)

小牧市   6カ月(10%)  6カ月(10%)

稲沢市   6カ月(10%)  6カ月(10%)

新城市   6月期末(30%) 6月期末(30%)

東海市   9カ月(10%)  9カ月(5%)

大府市   10カ月(20%)  9カ月(5%)

知多市   9カ月(10%)  9カ月(5%)

知立市   6カ月(20%)  9カ月(7.5%)

高浜市   10カ月(20%)         

岩倉市   8カ月(10%)  8カ月(10%)

豊明市   10カ月(20%)         

日進市   10カ月(30%)         

田原市   10カ月(10%)  10カ月(10%)

清須市   1カ月(全額)  1カ月(全額)

北名古屋市 10カ月(10%)  10カ月(10%)

長久手市  10カ月(30%)         

東郷町   9カ月(30%)         

豊山町   12カ月(10%)  12カ月(10%)

扶桑町   46カ月(10%)         

東浦町   9カ月(10%)         

南知多町  9カ月(10%)  9カ月(役職で異なる)

美浜町   9カ月(10%)  9カ月(5%)

幸田町   23カ月(10%)  9カ月(10%)

愛知県   6月期末(20%) 6月期末(10%)

※朝日新聞調べ(11日現在)。削減期間、削減率の順。新城市と愛知県は6月期末手当を削減。南知多町議は役職に応じて月5千~3万円を削減。期末手当も削る自治体もある。