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 新型コロナウイルスの影響で第102回全国高校野球選手権大会と同選手権神奈川大会が中止になったことを受け、神奈川県高校野球連盟(熊野宏之会長)は12日、県独自の「県高校野球大会」を開催する方向で準備を進めると発表した。球児らからは喜びや安堵(あんど)の声があがった。

 会期は8月1~23日。県高野連の栗原豊樹専務理事らによると、多くの高校で夏休みに入るまでは土日祝日のみの開催とし、夏休み期間中は平日にも試合を実施するという。雨天中止などの影響で試合日程が残ったとしても、23日以降は大会を実施しない。

 県高野連に加盟する全191校から参加を募り、球場は6月下旬をめどに決める。トーナメント方式で、チームの移動距離を極力少なくする方向で計画するが、出場校数や会場数で試合数が変わるため「決勝ありきではない」(栗原氏)という。感染拡大を防ぐため、試合は無観客で行う。

 抽選は県高野連理事が代理で行い、開閉会式はしない。阪神甲子園球場で開かれる交流試合に出場する東海大相模(相模原市南区)は、両方の試合に出場できるよう考慮するという。

 12日の会見で県高野連は生徒の安全確保が第一だと強調。栗原氏は「『幼い頃から(球児を)見つめてきた親御さんにはせめて』といった気持ちはなくはないが、球場に出入りする人数を減らさなければならず、ご理解頂きたい」などと苦しい胸の内を明かした。熊野会長は「この大会で喪失感を少しでも埋めていただき、新たなステップや目標に向かって前向きに進める機会にしてもらえたら」と球児を思いやった。

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 12日の県高野連の会見は動画で配信され、川和高校(横浜市都筑区)では3年生部員21人や伊豆原真人監督(42)がプロジェクターで見守った。

 井上滉大主将(3年)は「この1年やってきたことを全力でぶつけたい」。野球ができないことから食欲が落ち、体重が4キロ減って監督やトレーナーに相談した松村悠生副主将(同)は「支えてもらった恩返しがしたい」と話した。

 倉谷真佑里マネジャー(同)は部員の保護者と折り鶴をつくり続けている。約7千羽で「川和」の文字をあしらう予定で、ようやく半分まで終えたという。「3年生で野球ができるのはうれしい。最後までサポートしたい」と話した。

 昨夏の神奈川大会で4強に入った相模原高校(相模原市中央区)の佐相真澄監督(61)は「本当にありがたい。県高野連の方々がよく頑張ってくれた」。3年生25人に13日に報告するつもりだ。「なんとか3年生全員をベンチに入れてあげたい。登録メンバーの数を増やして欲しい」

 100人超の部員がいる横浜隼人高校(横浜市瀬谷区)の水谷哲也監督(55)は「進路につながる大会になってほしい」。3年生の8割が、大学や社会人で卒業後も野球を続けることを希望しているという。

 独自大会について3年生に伝えたところ、引き締まった表情を見せたという。「今まで以上に(選手が)感染してはいけない。野球も含めて、しっかり準備していこうと話しました」(岩本修弥、黒田陸離)